養液土耕栽培システム導入による土壌化学性の均一化


[要約]
点滴チューブと養液コントローラを組み合わせた養液土耕栽培システムを導入し、適正な施肥管理を行うことで、大面積を均一にかん水することが可能となり、残存窒素量が減少するとともにほ場内の分布むらも解消される。

[キーワード]キュウリ、養液土耕、窒素施肥、土壌均一化、環境保全型栽培技術

[担当]神奈川農総研・生産技術部
[連絡先]電話 0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 施設での土耕栽培では一般に、施設面積が大きくなるほど地点間で土壌化学性、物理性やかん水、施肥量の違いが大きくなり、均一な管理が難しい。そこで、低水圧でも均一なかん水が可能な点滴チューブを用い、窒素吸収量に見合った適量の施肥を行うことによって肥料の残存を抑えるとともに土壌化学性の地点間差を解消する。

[成果の内容・特徴]
1. 抑制キュウリ栽培に養液土耕栽培システムを導入し、葉数をもとにした簡易窒素施肥指標にもとづき、硝安と硝酸加里からなる液肥を用いることにより、土壌ECの地点間の偏りの解消や分散の低下、作付け後のECが低下する(図1表1)。
2. 硝酸態窒素濃度についても、システム導入後に地点間の偏りの解消や分散の低下、作付け後のECが低下する(図2表1)。
3. pHについては、本施肥指標による施肥管理では塩基性成分を養液として施用しないため、システム導入前後では地点間での偏りがむしろ大きくなる(図3表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 一般に点滴チューブは散水タイプのかん水チューブよりも低圧で均一な吐出量が見込め、一時に大面積のかん水が可能であるが、散水チューブと同じ水圧では高圧に過ぎて破損することがあるため、導入の際には適正水圧を確認して用いる。
2. 点滴チューブで施用する液肥は、窒素、カリのみを含む養液とする。リン酸や塩基性成分の施用はチューブの詰まりの原因となるため、元肥施用のみとする。
3. 土づくりにあたっては、物理性改善を重視し、稲わらたい肥など窒素成分の少ない資材を利用する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:施設キュウリ・トマトの養液土耕栽培技術の確立
予算区分:地域基幹
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:佐藤達雄、松浦京子、北畠晶子、岡本昌広、成松次郎、水野信義、高柳りか
発表論文等:
1)佐藤達雄・岡本昌広・松浦京子・水野信義(2001)園学雑70別2:275.
2)佐藤達雄・岡本昌広・松浦京子・水野信義(2002)園学雑71別2:323.
3)佐藤達雄・北畠晶子・岡本昌広・高柳りか(2003)園学雑72別2:142.


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