中山間地帯における飼料イネ栽培技術


[要約]
中山間地帯の高標高による冷涼気象地帯における飼料イネ栽培は、飼料イネ専用品種を用い、施肥を多めに行い多収とし、早めに落水して地耐力を確保し、専用収穫機を用いて収穫・調製する。

[キーワード]飼料イネ、中山間地帯、飼料作物、イネホールクロップサイレージ

[担当]長野農事試・作物部・育種部、長野農総試・経営情報部
[連絡先]電話 026-246-9783
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 飼料イネ栽培は、耕種農家サイドからは転作作物として、畜産農家からは自給飼料として注目されている。イネを食用ではなく飼料作物として栽培するには、省力・低コスト生産が必須条件である。気象条件の厳しい中山間地帯における飼料イネ栽培において、イネホールクロップサイレージ(ロールベール)体系を前提とした直播栽培を軸とした省力栽培を確立し、当該技術の普及を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 品種は収穫期間を幅広くするため、中生は「信交507号」中晩生は「ほそおもて」、極晩生では「クサホナミ」を用いる(表12)。これらの品種は耐倒伏性強の多収品種である(表1)。なお、1品種当たりの適収穫期間は概そ20日間である。
2. 飼料イネの収穫時期は原則的に黄熟期のため、食用品種より高標高であっても栽培できるが、移植栽培は、1000m直播栽培では800mが限度標高である(表1)。
3. 直播栽培の播種量や、移植栽培の栽植密度は一般食用栽培どおりとする。施肥量は一般食用栽培の〜倍量を基準とする(データ略、2003成果情報候補。
4. 省力・低コストをねらって、カルパー無粉衣種子を利用する場合は、出芽率がカルパー処理種子に比べ20%程度劣るため相当量の播種量を増やす(データ略2002成果情報)
5. 追肥作業を省くための緩効性肥料を用いた全量基肥技術は、追肥体系と同等以上の収量が得られ有効である(データ略、2003成果情報候補)。
6. 専用収穫機械の走行性を確保するため、中干しは通常栽培どうり実施し、落水を通常栽培より早く、出穂後12〜18目から実施し、地耐力を確保する(データ略、2001成果情報)。
7. 収穫は、黄熟期収穫を原則とし(表3、専用の収穫・調製機械を用いてイネホールクロップロールベールサイレージを製造する(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「信交507号」は育成中の系統である。
2. 飼料イネは、餌として利用されるため、農薬は使用しないことを原則とする。
3. 農薬の使用時期限度の「収穫○日前まで」は一般栽培と異なり黄熟期収穫の場合、10日程度早まることに注意する。
4. 倒伏は、収穫時に土砂が混入するため、サイレージ発酵を強く阻害し、品質低下を招く原因となる。
5. 落水後は「走水」で飼料イネ生育に支障のない圃場水分を確保する。
6. 飼料イネ栽培圃場は、団地化し、用水管理・収穫作業等の効率化や混種防止を図る。
7. 飼料イネ生産では、茎葉も含めた全生産物が圃場外に持ち出されるため、有機物補給に努める。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:飼料イネの中山間地帯における省力的生産・調製・利用技術の確立
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999.2003〜年度
研究担当者:袖山栄次、斎藤稔、細井淳、中澤伸夫、土屋学、谷口岳志、酒井長雄、手塚光明、新井利直、福田久


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