トマト養液栽培における排液再利用システム利用時の培養液調整ソフト


[要約]
トマト養液栽培で排液再利用システム利用時に、定期的な排液中の肥料成分分析結果を基に培養液を調整するソフトを開発した。本ソフトの利用により、農家自身がパソコンを用いてデータ入力、施肥バランスのシミュレーション、施肥量計算などを迅速かつ簡便にできる。

[キーワード]トマト、養液栽培、排液再利用システム、施肥量計算、培養液調整ソフト

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸グループ
[連絡先]電話 0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 トマトの養液栽培では生育ステージや栽培時期に応じ最適な培養液組成や施肥濃度が決められている。そして栽培農家は栽培期間中に定期的に培養液の組成を分析し、肥料成分組成が乱れないように培養液管理を行う。かけ流し栽培では栽培槽に肥料成分組成の整った培養液が給液されているが、循環再利用を行う栽培システムでは排液の混入による肥料成分組成の変化の修正が必要となる。これは日常の栽培管理の中で負担となる業務である。そこで排液再利用システムの利用者が、培養液の作成・調合において迅速、簡便に最適な施肥量を決定するための培養液調整ソフトを作成する。

[成果の内容・特徴]
1. 排液再利用システム利用時の培養液は肥料混合装置から栽培槽に給液され、余剰培養液はストックタンクに回収、殺菌され再利用される。培養液調整ソフトはバランスの乱れた余剰培養液を再利用する時に最適な培養液組成にする施肥量をパソコンを用いて計算することができる(図1)。
2. 調整培養液の肥料濃度の計算方法は基準の肥料濃度から再利用する肥料濃度を調整した量とする。再利用する肥料濃度は定期的に分析された排液の肥料成分組成の分析値に排液の混入割合を乗じて計算する(図2)。
3. 図3は開発したソフトウェアの手順を示した実行画面である。手順2において排液の肥料成分組成の分析値を入力し、手順3において基準となる施肥量(メーカー仕様や独自処方など)のタイプを選択する。手順5で排液混入率、作成量を決定し、配合バランスのグラフが適正値に収まるように肥料投入量を変化させ、最適値に収まれば結果を印刷する。

[成果の活用面・留意点]
1. トマト養液栽培における排液再利用システムで利用が可能である。
2. 培養液組成の修正が容易なため、栽培には単体肥料を用いる。
3. 微量要素については修正できない。
4. ソフトウェアの動作環境についてはマイクロソフト社製エクセル(ウィンドウズ版バージョン97以降相当)の動作するパソコンが必要である。
5. 当培養液調整ソフトの使用に当たってはユーザー登録が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:トマトロックウール代替培地における環境保全型養液栽培システムの開発
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:小西信幸、礒崎真英、田中一久、安田典夫


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