ロングマット苗移植及び不耕起栽培を導入した4年6作水田輪作体系


[要約]
水稲ロングマット水耕苗移植、水稲不耕起乾田直播、浅耕麦栽培、不耕起狭畦大豆栽培による4年6作水田輪作体系においては、基幹労働力6名で最大93haまで規模拡大が可能となり、米政策改革下でも1人当たり1000万円を超える所得が期待できる。

[キーワード]ロングマット水耕苗移植、不耕起乾田直播栽培、大豆不耕起狭畦栽培

[担当]中央農研・関東総研部・総研1
[連絡先]電話 029-838-8512
[区分]共通基盤・総合研究、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 関東地域の水田では、高度利用が可能な気象条件にありながら、田作大豆のみの連作面積割合が21.7%、田作麦のうち麦1作割合も20.8%あり、土地利用率低下の要因となっている。一方、大規模経営では、作物切り替え時期に厳しい作業競合が発生し、播種期遅延等による減収や品質低下が生じやすい。そのため、水田が高度に利用されるとともに、省力的に作業ができ、かつ、安定収量が確保できる水田輪作体系の確立が求められている。

[成果の内容・特徴]
1. 図1に水田輪作体系の内容を示した。この体系では、まず、ロングマット水耕苗技術で省力的に水稲移植栽培を実施し、代かきによる漏水防止や雑草抑制を図る。次に、水稲乾田直播で省力化、作期分散等を図りつつ、その後の畑作物の栽培に好適な土壌条件を確保する。さらに、麦作では、出芽・苗立ち確保と雑草制御を目的に浅耕の後に播種を行い、麦跡の大豆作では、不耕起狭畦栽培により適期播種を可能としつつ狭畦栽培で省力化及び抑草効果を維持する。
2. 水稲ロングマット水耕苗移植、水稲不耕起乾田直播、浅耕麦栽培、大豆不耕起狭畦栽培の現地実証試験結果では、慣行の土付き苗移植栽培や、麦、大豆耕起栽培に比べ、費用合計はやや増加するが、10a当たり収量はほぼ同等か慣行栽培を上回るとともに、労働時間は1.2〜1.6時間/10a減少している(表1)。
3. 平成16年度からの米政策改革下における水田輪作体系の収益性を線形計画法により試算した結果、14,000円の米価水準を前提としても、稲作所得基盤確保対策や、町独自の助成も含む56,500円/10aの産地作り対策等に係る助成から、最大規模(93ha)の下で麦−大豆が43ha導入され、1人当たり農業所得は1,000万円を上回る(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 播種作業は、全てディスク駆動式の汎用型不耕起播種機を用いる。
2. ここでの収量、労働時間、費用合計は、茨城県新利根町で現地実証試験を行った2000年から2004年の結果を整理したものであり、また、圃場条件は、汎用化が可能な平坦地の1haを超える大区画水田での作業を前提としたものである。
3. 輪作体系の収益性は、図2の脚注に示す生産調整参加メリット試算システムを用いて計算した。なお、現地実証地域では、生産調整対策において国からの助成に加え町独自の助成も実施しており、ここではそれら金額も加えている。シミュレーションにおける助成額は、補填金等が支払われる平成17年度を想定した数値である。また、開発した生産調整参加メリット試算システムは、中央農業総合研究センターの農業経営診断システムのホームページに公開する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:不耕起播種による大豆・麦の省力安定多収栽培技術の体系化
課題ID:03-01-01-01-02-03
予算区分:交付金(ロングマット)
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:梅本雅、浜口秀生、中山壮一、小倉昭男、北川寿、白土宏之
発表論文等:北川寿・小倉昭男・白土宏之・屋代幹雄、水稲ロングマット水耕苗の育苗・移植技術マニュアル、中央農業総合研究センター研究資料、印刷中。浜口秀生・中山壮一・梅本雅、汎用型不耕起播種機による大豆不耕起狭畦栽培マニュアル、中央農業総合研究センター研究資料、印刷中。


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