トマトの環境保全型養液栽培に適する培養液処方


[要約]
かけ流し式養液栽培で、給液および排液中の各無機成分の収支から開発した改良処方は、大塚A処方より生育後半でも草勢が維持され、収量、1果重、品質が優れ、培地内養液ECが安定し、バランスよく無機成分が吸収される。

[キーワード]トマト、養液栽培、培養液処方、養水分吸収量

[担当]栃木農試・園芸技術部・野菜研究室
[連絡先]電話 028-665-7142
[区分]関東東海北陸農業・総合研究、野菜
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 環境保全型養液栽培では、収穫始期頃から培地内養液ECの高まり、無機成分の蓄積が認められ、草勢や収量が低下する。そこで、本栽培に適する給液管理技術を確立するために、かけ流し方式により給液および排液中の各無機成分の収支から培養液の無機成分濃度を検討し、生育、収量および培地内養液濃度に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 大塚A処方を用いて、図1に示した給液ECで排液率10〜20%とした場合、培地内養液ECと排液ECはほぼ同じ値で推移する。給液中の無機成分濃度から排液中の無機成分濃度を減じたみかけの無機成分吸収量は、各成分とも定植後増加し12月上旬から栽培終了前までほぼ一定の値となる(図2、データ一部略)。
このため、無機成分の吸収量は次のとおり考えられる。
陽イオン カリウム:149-168、カルシウム:60-70、マグネシウム:12-18 mg/株・日
陰イオン 硝酸態窒素:77-84、リン:62-68、硫酸根:58-67 mg/株・日
2. 株当たりの吸水量は第1花房開花期では0.25L、第2果房開花期では約0.5Lで、以降1果房進むごとに0.05Lずつ増加し、第8果房開花期では約0.8L、第9花房開花期では約1.0L、以後は1.0〜1.3Lである(データ略)。
3. 養分吸収量に基づき開発した改良処方は、大塚A処方に比べて草勢は上位果房でも安定し、収量は約10%多く、可販果率および1果重もやや優れ、健全果率が高く尻腐れ果も少ない。また、培地内養液のECは低く安定して推移し、硝酸態窒素、硫酸根、カルシウムおよびマグネシウムがいずれの時期でも低く培地内養液中に蓄積しない。カリは大塚A処方より高く推移するが、給液濃度を超えることはない(表1図3、データ一部略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 改良処方は、原水にもよるが硝酸カルシウムなど5種類の肥料と微量要素肥料で作成できる。
2. 給液ECは図3が基本で、定植〜第2花房開花期は1.2dS/m、第2花房開花期〜第8花房開花期1.4dS/m、その後徐々に下げ3月下旬以降は1.0dS/mとする。
3. 品種は「ハウス桃太郎」で、9月上旬播種の促成栽培である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:草姿管理等による施設を中心とした果菜類の省力・快適化生産技術の確立
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:2000〜2004年度
研究担当者:石原良行、人見秀康


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