施肥管理が飼料イネ「ほそおもて」の乾物収量及び飼料成分に与える影響


[要約]
窒素の増肥及び堆肥の施用等により、飼料イネ「ほそおもて」のTDN収量及び乾物収量は共に増加するが、TDN収量の増加程度は、乾物収量の増加に伴って低下するため、TDN収量が頭打ちとなる乾物収量1800kg/10a程度を確保できる施肥管理を行うのが適当である。

[キーワード]飼料イネ、施肥管理、TDN、乾物収量、牛糞堆肥 

[担当]長野農事試・病害虫土壌肥料部  
[連絡先]電話 026-246-2411
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 飼料イネは、水田機能を維持しながら従来の稲作技術が利用できる。茎葉及び子実を利用できる稲発酵粗飼料の低コスト生産を図るためには、さらに直播栽培を発展させ多収、高品質化のための栽培法の確立が必要である。そこで飼料イネ生産における窒素施肥量、施肥法並びに牛糞堆肥の施用が乾物収量及び飼料成分・栄養価に与える影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 窒素施肥量(0〜16kg/10a)、施肥法、並びに牛糞堆肥(2,4t/10a)の施用の有無等の条件を変え栽培した飼料イネの乾物収量及びTDN収量は、登熟歩合、籾藁比及びTDN含量と負の有意な相関関係が認められる(表1)。
2. 茎葉のTDN収量は、乾物収量に比例して増加する(図1)。穂のTDN収量は、乾物収量1600kg/10a以上で頭打ち傾向が認められる(図2)。乾物収量と登熟歩合に負の相関関係、登熟歩合とTDN含量に正の相関関係が認められることから、乾物収量の増加に伴い登熟歩合が低下することにより穂のTDN含量が低下すると考えられる。
3. 窒素の増肥、及び堆肥の施用によりTDN、乾物収量共に増加するが、TDN収量の増加程度は、乾物収量の増加に伴って低下するため、TDN収量が頭打ちとなる乾物収量 1800kg/10a程度を確保できる施肥管理を行うのが適当と判断される(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. TDN及び乾物収量は、品種特性、栽培法、栽培地域により異なることに留意する。

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