茶園での樹冠下点滴施肥による亜酸化窒素放出量の低減


[要約]
尿素肥料を液肥に用いた茶園での樹冠下点滴施肥は、土壌への無機態窒素の蓄積を生じさせず、亜酸化窒素の大気への放出量を低減できる。

[キーワード]茶、樹冠下点滴施肥、亜酸化窒素、無機態窒素

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・環境安全グループ
[連絡先]電話 0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 茶園は比較的施肥量が多いことと土壌が酸性化しているため、温室効果ガスの亜酸化窒素の放出量が多い。愛知県が開発中の樹冠下点滴施肥方式は、土壌への無機態窒素の蓄積を生じさせないことから、亜酸化窒素放出量を低減できる可能性がある。そこで、豊田市のてん茶園で、樹冠下点滴施肥による亜酸化窒素放出量低減効果を、有機質肥料主体の慣行施肥を対照として明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 土壌表層(0〜20cm)の無機態窒素量の推移をみると、有機質肥料を主体とした施肥窒素量725kgN/haの慣行施肥では、特に施肥後、硝酸態窒素の蓄積が認められる。一方、樹冠下に液肥を点滴施肥した場合には(液肥窒素濃度40mgN/Lただし3/15〜5/14は120mgN/L、施肥窒素総量580kgN/ha)、無機態窒素は高濃度に蓄積することはなく、低いレベルで安定して推移する(図1)。
2. 茶園土壌からの亜酸化窒素放出速度は、図1に示すとおり、有機質肥料主体の慣行施肥では春〜夏にうね間で高まるが、樹冠下点滴施肥では樹冠下で夏季にやや高まる程度で、年間を通してより低いレベルで推移する。亜酸化窒素放出速度とうね間・樹冠部面積割合、測定間隔日数から推定した亜酸化窒素の放出量は、慣行施肥では、茶園の1/4の面積に相当するうね間からの放出量が茶園全体からの放出量の7割を占め、逆に、樹冠下点滴施肥では樹冠下からの放出量が8割を占めた(表1)。
3. 施肥窒素量に対する亜酸化窒素の放出割合は、慣行施肥では7.6%に及ぶと推定された。樹冠下点滴施肥では同4%であり、年間の亜酸化窒素放出量は、慣行施肥の1/2程度に低減できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 使用した液肥は、窒素成分に尿素を用いた複合肥料(窒素12%うち尿素11%、りん酸5%、加里7%)である。
2. 樹冠下点滴施肥は施肥窒素量500kgN/ha以下での栽培を視野に入れて開発中であり、施肥量によっては、さらに亜酸化窒素放出量を低減できる可能性がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:硝酸態窒素の環境基準化に則した茶生産システム
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:糟谷真宏・辻 正樹・樋江井清隆・木下忠孝


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