茶園用広幅施肥機


[要約]
施肥機は、ロータリフィーダ方式の繰り出し機構で車速と連動し、ブロアの送風によりうね間および樹冠下にも施肥できる。さらに、樹冠下土壌と混和するための混和機を使用することで肥効の安定が期待できる。

[キーワード]チャ、茶、樹冠下、肥料散布機、ロータリフィーダ、ブロア

[担当]三重科技セ・農業研究部・経営植物工学グループ
[連絡先]電話 0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・総合研究、畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 低窒素投入型の栽培技術を確立するためには少ない肥料を精度良く散布し、肥料効率を上げる必要がある。施肥法として茶樹の樹冠下へも施肥し、土壌と混和することが有効と考えられるが、現状では効率的な散布、混和する方法がないため、樹冠下に施肥する施肥機と土壌と混和するための混和機を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 施肥機は、肥料タンク、ロータリフィーダ方式の繰り出し機構、ブロアによる搬送部噴口、エンジン、車輪等で構成されている。肥料は、タンクからゴム製のロータリフィーダの回転によって繰り出されブロアの送風により噴口へ搬送され、噴口から拡散散布される(図1)。散布幅は、噴口の衝突板の角度により設定する(図2)。タンク内には、ブリッジ防止用のアジテータとフィーダ内の充填率を確保するための空気抜きを設けている。
2. 散布量の設定は車速と連動するロータリフィーダの回転数と入り口を2種類の規制板で開口面積を3段階にとることで9段階に設定できる。散布精度は、配合肥料の場合設定量の95%程度で、作業能率は、約30a/時である(表1)。
3. 混和機は、片側2本のスクリュウ爪を水平回転させて土壌に混和する。この方式の特徴は撹拌部分の高さを低く抑えることができること、枝の巻き込みが少ないことであり、樹冠下の低い空間で、幅広く混和することができる。(図3)。
4. 爪軸回転数は最大200rpmで調整はアクセル開度で行い、作用深さは尾輪の高さを調整することで行う。作業能率は、約20a/時である。

[成果の活用面・留意点]
1. 施肥機の散布幅は、噴口衝突板の角度により樹冠中心部まで散布可能であるが、散布幅は、撹拌できる範囲にとどめほうが肥効は安定する。
2. 配合肥料は、内容物により見かけ比重、流動性(安息角)が異なるため、事前のテスト散布が必要である。
3. 施肥機は、前輪で搭載肥料の重量を分担しているため傾斜地での使用は不向きである。
4. 混和機は、整枝枝程度の夾雑物には対応できるが、長藁、笹等の被覆資材がある条件では絡みつきのため使用できない。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:少肥栽培と窒素溶脱防止技術によるかぶせ茶地域の環境保全型茶生産システムの確立
予算区分:地域基幹
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:中西幸峰、杉本彰揮、東邦道(初田工業(株))


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