飼料イネを給与して生産した牛乳の消費者価値


[要約]
輸入粗飼料の代替として飼料イネを給与して生産した牛乳を想定し、消費者の購買選好を調査したところ、製品情報に加え、飼料イネ生産の外部経済効果に関する情報を提供することで既存品より割高であっても購入する確率が高くなり、またその支払い意志額は30円/Lであった。

[キーワード]飼料イネ、牛乳、支払い意志額、購買選好

[担当]三重科技セ・農研部・経営植物工学グループ
[連絡先]電話 0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、経営
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 飼料イネ生産が拡大・定着化するための農家経済条件は、輸入飼料に比べて増加した生産コストを飼料イネ生産がもたらす便益が上回る必要がある。この便益は消費者にとって安心な国産飼料であることや環境負荷低減等の外部経済効果である。そこで飼料イネ生産が持つ便益を、飼料イネを給与して生産した牛乳を評価対象財として想定し、消費者による購買選好を通して評価することにより飼料イネ生産拡大のための基礎資料とする。
なお、調査対象とした牛乳消費者は三重県内の畜産交流施設の訪問者とした(表1)。

[成果の内容・特徴]
1. 国産の飼料イネを輸入粗飼料の代替として生産した牛乳について、図1に示す第1情報(製品に関する情報)を与えた段階での購買選好は、「いつも購入している牛乳より高くても購入する」45.5%、「購入しない」23.9%、「わからない」31.0%となり、製品に関する情報提供により半数近くが価値を認めている(表2)。
2. 第1情報に続いて飼料イネ生産が社会に貢献するという第2情報(図1)を与えると、第1情報を与えた段階で購入するとした回答者のうち、「さらに高くても購入する」が86%(全体の39.2%)を占め、製品情報で価値を認めた回答者の多くは社会貢献の価値も認める。
3. 第1情報を与えた段階では「購入しない」および「わからない」と購入には合意しなかった回答者でも第2情報(社会貢献情報)を与えると、各カテゴリの約50%が「高くても購入する」との意向に変化し、全体の28.7%の回答者が、飼料イネ生産が持つ社会的価値を理解したことにより、割高であっても製品を購入することに合意した。また、製品情報または社会貢献情報のどちらか一方でも購入に合意した回答は74.2%となった(表2)。このことから、飼料イネ生産が持つ社会的価値の情報を消費者に理解してもらうことで、割高であっても購入する確率は高くなる。
4. 飼料イネを給与して生産した牛乳の製品情報か飼料イネ生産の社会貢献情報のいずれかを知り得たときに、「高くても購入する」とした回答において、既存品と比べて高く支払っても良いとする支払い意志額を生存分析(Kaplan-Meier法)により推計したところ、最高支払い意志額の中央値は30円/Lとなる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料イネを給与して生産した牛乳の付加価値販売を企画する場合に参考となる。
2. 餌としての飼料イネの存在とその意義を多くの消費者に正確に理解してもらうための具体的な方法を検討する必要がある。
3. 結果は三重県内の畜産交流施設の訪問者に対する調査に基づくものである。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:飼料イネの生産・給与技術のシステム化と地域営農モデルの策定
予算区分:地域基幹
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:糀谷 斉、山本泰也、乾 清人


目次へ戻る