ロングマット水耕苗育苗・移植技術の導入の対象になる経営


[要約]
ロングマット水耕苗育苗・移植技術の導入意向に基づくと、同技術は、経営主の年齢が65歳未満であり、かつ5ha以上の稲作面積を1人で作業している経営あるいは積極的な複合化志向を持つ水稲単作経営で採用の可能性が高い。

[キーワード]ロングマット水耕苗、導入意向、対象経営

[担当]中央農研・経営計画部・耕種経営研究室
[連絡先]電話 029-838-8876
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、経営
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]
 苗の軽量化や育苗・移植作業の省力化が期待できる水稲ロングマット水耕苗育苗・移植技術(以下、ロングマット技術と称す)は、徐々に導入経営数および面積を増加させつつある。しかし、この技術は未だ定着しているとは言えない。そこで、ロングマット技術を水田作経営へ効果的に普及させていく上で、導入の対象となる経営の特徴を明らかにする(アンケート調査のサンプル数は124人)。

[成果の内容・特徴]
1. ロングマット技術の積極的な導入意向は、60〜64歳層をピークに減少する(図1)。そのため、ロングマット技術の普及には、経営主が65歳未満の経営が対象の一つになる。
2. 65歳以上では、共同であれば導入する意向が高い(図1)。そこで、経営主が65歳以上の経営の場合でも、共同による導入を促すことによって導入の可能性が高まる。
3. 5ha以上の田植作業面積を1人で行っている経営では、積極的にロングマット技術を導入する意向が高い。しかし、田植の作業人数が多くなるほど、条件付も含めて導入意向は減少する(図2)。そのため、ロングマット技術の普及には、稲作面積が5ha以上で、かつ労働力が1人しかいない経営が主な対象になる。
4. 複合化志向、もしくは複合部門の強化を志向する経営では、条件付も含めた導入意向の割合が高い。特に、複合化志向を持つ水稲単作経営では、ロングマット技術の導入に積極的である(図3)。そのため、積極的な複合化志向を持つ水稲単作経営が対象の一つになる。
5. 年齢が65歳未満でかつ5ha以上の稲作面積を1人で作業している経営、あるいは年齢が65歳未満でかつ複合化志向を持つ水稲単作経営で積極的な導入意向の割合が高い(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及機関等がロングマット技術を普及していく上で、普及対象及び普及に向けた支援方策を策定する際に活用できる。
2. ロングマット技術の導入において、育苗施設等への導入費用の関心が高い。そのため、導入費用の低減に対する支援策も講じる必要がある。
3. アンケート調査対象者は、関東・東北で行われたロングマット技術の実演会に参加した農業者であるため、そのような地域でロングマット技術などの新技術に興味を持っている者であるという点に留意が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:高収益輪作営農の定着条件の解明
課題ID:03-03-01-01-01-03
予算区分:地域総合
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:松本浩一、山本淳子、関野幸二


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