酒造好適米の水稲新品種候補系統「むさしの酒6号」


[要約]
水稲「むさしの酒6号」は、外観品質が良く、酒造適性に優れ、普通植栽培で多収の酒造好適米である。

[キーワード]イネ、酒造好適米、むさしの酒6号

[担当]埼玉農総研・米・麦担当
[連絡先]電話 048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  本県の清酒製造量は全国でも有数であるが、酒造好適米の県産米利用は1割に満たない。現在の奨励品種「若水」は純米酒等の高級酒に使用されているが、近年品質が不安定であることや砕米、高度精白に不適などの問題から消費、生産が伸び悩んでいる。県産米の消費、生産拡大および県産清酒の独自性を打ち出すために生産者や実需者から県独自の酒造好適米品種が強く要望されている。そこで、酒造適性に優れ、高品質の酒造好適米品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「むさしの酒6号」は1992年に「改良八反流」を母に「若水」を父として人工交配を行い育成された系統である。
2. 「若水」と比べ、早植では出穂期、成熟期が3日遅く、普通植では出穂期が4日、成熟期が6日遅い晩生種である。
3. 「若水」に比べ、稈長は10〜14cm長い。穂長は同等〜やや長い。穂数はやや多く、草型は偏穂重型である。
4. 耐倒伏性はやや弱。穂発芽性は中である。
5. いもち病真性抵抗性遺伝子型は+と推定され、葉いもち抵抗性は中、穂いもち抵抗性はやや弱である。白葉枯病抵抗性は中である。
6. 収量は「若水」に比べ、早植では低く、普通植では多収である。
7. 千粒重は「若水」に比べ、普通植で1g大きい。玄米外観品質はやや優れる。心白の発現率は「若水」よりやや低い(表1)。心白の大きさはやや小さい。早植で胴割米がやや発生しやすい。
8. 原料米分析の結果、「若水」と同様の性質を示し、さらに粗蛋白質が少なく、無効精米が少ないため、酒造適性は優れる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及地帯は、県北部の普通植栽培地域。普及見込み面積は50ha。
2. 生育期間中、葉色はやや濃く推移するため、穂肥の施用時期に注意する。
3. 倒伏のおそれがあり、また、玄米中のタンパク質含量を高めないため、適正な肥培管理を行う。
4. 胴割米の発生など、玄米品質低下を防ぐため、適期に刈り取り、乾燥調製を適切に行う。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:新品種育成試験、第2〜4期水稲新品種育成試験
予算区分:県単
研究期間:1992〜2003年度
研究担当者:荒川誠、箕田豊尚、武井由美子、石井博和、大岡直人、上野敏昭、重松統、齋藤孝一郎、新井守、戸倉一泰、矢ヶ崎健治、小指美奈子、岡田雄二、関口孝司、大塚一雄、新井登、渡邉耕造
発表論文等:2003年3月品種登録申請予定

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