ダイズ「エンレイ」の奨励品種採用（予定）

早生で実需者評価の高い「エンレイ」を奨励品種に採用し、岐阜県中山間地域において普及をはかる。

　 岐阜県では自給率向上を目標にダイズの生産を振興し、中山間地域においても生産が本格化している。従来の奨励品種は「アキシロメ」であったが、高標高地域では晩生であり、収量や品質が不安定であることに加え、地域における実需者への知名度が低いため、作付は少なかった。このため「アキシロメ」に替え、中山間地域から山間地域において早生で地域の実需評価が高く、収量や品質が安定している「エンレイ」を奨励品種に採用し、ダイズの生産振興を図る。

1．	中山間農業技術研究所（飛騨市古川町；標高493m）における「エンレイ」は以下の特徴がある（表１、表２）。
	（1）	開花期は「アキシロメ」より9日早く、成熟期は「アキシロメ」より24日早い。
	（2）	主茎長は「アキシロメ」よ14cm短く、耐倒伏性は「アキシロメ」より優れる。
	（3）	主茎節数は「アキシロメ」より4節少ない。
	（4）	分枝数は「アキシロメ」並である。
	（5）	収量性は「アキシロメ」より13％多収である。
	（6）	百粒重は39.6gと「アキシロメ」よりも重い。
	（7）	外観品質は「アキシロメ」より良好である。
	（8）	タンパク質含有量は「アキシロメ」より高い。
2．	県内中山間地における特徴と評価は以下のとおりである（表３）
	（1）	東濃中山間地域では、品質や収量が不安定である。
	（2）	美濃中山間地域では収量が多いが、しわ粒や腐敗粒の発生により品質が劣る。
	（3）	飛騨中山間地域から山間地域では、品質、収量ともに良好であり、地元流通業者や豆腐生産業者の評価も高い。

1．	普及対象は飛騨中山間地域から山間地で、普及面積は100haを見込む。

［具体的データ］

研究課題名：主要農作物における奨励品種決定調査及び種子生産事業
予算区分：県単
研究期間：2000〜2003年度
研究担当者：鍵谷俊樹、河合靖司、柳瀬関三