硬質小麦「タマイズミ」安定生産のための生育指標


[要約]
「タマイズミ」の収量は穂数との相関が高く、子実重40kg/a以上を確保するには穂数が400本/m2以上必要である。収量確保のための生育量の指標値は、止葉抽出始期の草丈×1平方メートル当たりの茎数が27000以上であり、高タンパク質化のための止葉葉色の指標値は、穂揃期で38以上である。

[キーワード]硬質小麦、タマイズミ、生育指標

[担当]三重科技・農業研究部・伊賀農業研究室、作物グループ
[連絡先]電話 0595-37-0211
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物(冬作物)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  平成14年度に推奨品種に採用した硬質小麦「タマイズミ」は、主に醤油用途として伊賀地域を中心に461ha作付けされているが、実需者の要望が強く、今後さらに作付け面積の増加が見込まれる。そこで、低湿な水田輪換畑で栽培されるため収量、品質が変動しやすい本県の小麦作における「タマイズミ」の高品質安定栽培のための生育指標を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「タマイズミ」の収量は穂数との相関が高く、子実重40kg/a以上を確保するためには、穂数は400本/m2以上必要である(図1)。
2. 止葉抽出始期の生育量と収量には高い相関関係が認められ、子実重40kg/a以上を得るには草丈×1平方メートル当たりの茎数で27000以上が必要である(図2)。指標値の具体的生育量は草丈38〜42cm、茎数680〜780本/m2であり、適正な葉色値は40〜43である。
3. 目標子実タンパク質含量を11%以上とすると、穂揃期の適正な葉色値は38以上であり、42以上あれば追肥を施用しなくてもよい(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 得られた成果は、11月上中旬播種の細粒灰色低地土の水田輪換畑小麦栽培に適用する。
2. 止葉抽出始期の生育指標値はその後の窒素追肥を前提としている。
3. 止葉葉色値は葉緑素計(SPAD-502)を用いて測定した。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:新品種の選定および地域特産物の高品質技術開発
   三重県の水田輪換畑における有望早生小麦品種の品質・収量安定化栽培技術の開発
予算区分:県単、ブラニチ1系
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:北野順一、村上高敏、中山幸則、神田幸英、山川智大

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