水稲の密播稚苗育苗による育苗コストの低減


[要約]
ウニコナゾールP液剤を催芽前24時間浸漬処理した種子は、箱当たり乾籾播種量で240gの密播稚苗育苗ができる。移植は田植機の苗掻き取り調整により、慣行と同じ株当たり4〜5本で行え、苗箱使用量は慣行育苗に比べて2/3に低減できる。

[キーワード]水稲,ウニコナゾールP液剤,種子浸漬処理,密播育苗,苗箱数低減

[担当]茨城農総セ農研・水田利用研究室
[連絡先]電話 0297-62-0206
[区分]関東東海北陸農業・水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  最近の米価低迷、農家の高齢化や規模拡大により、省力・低コストな稲作技術の開発が強く求められている。そこで、ウニコナゾールP液剤を利用した密播育苗技術を開発し、育苗資材費の低減及び播種・育苗・移植作業の軽労化を図る。

[成果の内容・特徴]
1. ウニコナゾールP液剤を浸漬処理した種子による乾籾播種量240g/箱の密播稚苗(以下、密播苗)は、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と比べて草丈が短く、同じ育苗期間でも葉齢の展開はほぼ同じである。育苗箱当たりの窒素施肥量は、慣行の1.5g/箱より2g/箱で葉の黄化が少なく良苗が得られる(表1、データ省略)。
2. 密播苗の移植後の初期生育は、移植後の葉齢増加速度、根長、地下部の乾物重からみて、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と同程度である(表2)。
3. 密播苗は田植機の苗掻き取りを調整することで、株当たり4〜5本移植が可能である。欠株率は350倍処理苗で高まるが、450倍処理苗では問題なく移植できる。これは処理濃度が高いと薬剤の効果により根部が発達し、苗の掻き取りに問題が生じるためである。10a当たりの苗箱数は慣行苗の2/3に減少する(表3)。
4. 密播苗移植の収量は慣行苗移植と同程度である(表3)。
5. 密播育苗の育苗資材コストは、慣行育苗と比較して山土使用の場合、10a当たり約800円、粒状培土使用の場合では10a当たり約600円削減できる。また、作業時間は10a当たり0.9時間短くなり、労働費は10a当たり1350円低減できる(表4表5)。

[成果の活用面・留意点]
1. 3月下旬〜4月中旬播種、4月下旬〜5月上旬移植、品種は「あきたこまち」、「コシヒカリ」を用いた結果である。
2. 薬剤処理は催芽24時間前から水温10〜15℃で行う。
3. 種子消毒、苗立枯病の防除は必ず行い、慣行育苗と同様に温度管理には注意する。
4. 平置き出芽は出芽時に籾の持ち上がりが懸念されるので行わない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:密播中苗育苗技術の開発
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:田中研一、狩野幹夫
発表論文等:なし

目次へ戻る