コシヒカリ施肥対応を目的とした陽イオン交換容量の地理情報システム化


[要約]
土壌陽イオン交換容量は5月上旬移植コシヒカリの玄米窒素含有率・収量に対するカテゴリー基準となる。15me以下では基肥増肥で増収効果がある。20me以上では基肥は少なくする。地理情報システム化により、施肥対応のCEC分布が視覚的に把握できる。

[キーワード]地理情報システム、陽イオン交換容量、イネ、施肥、土壌環境基礎調査

[担当]埼玉県農総研・生産環境担当
[連絡先]電話 048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  水稲の収量及び食味に影響する玄米窒素含有率を適正にするため、それらへの土壌条件、施肥、品種等の因果関係をカテゴライズし、条件に合わせた施肥法を確立する。
 さらに要因分布を地理情報システム(GIS)を利用して、広域で視覚的に施肥診断・指導ができるシステムを構築する。

[成果の内容・特徴]
1. 土壌環境基礎調査及び玄米窒素含有の実態調査データ(5月上旬移植水稲)を用いて数量化I類にて解析した結果、玄米窒素含有率の変動に対する主な要因は、陽イオン交換容量(CEC)、穂肥施用量、さらに品種間差である(図1)。土壌統群間(灰色低地土、グライ土、泥炭土、黒泥土、多湿黒ボク土)や可給態窒素の影響は比較的小さい。
2. CECの大きい土壌は小さい土壌に比べて収量水準は高いが、玄米窒素含有率も増加する傾向にある(表1)。また、CECの小さい土壌(13me)では基肥増加による増収効果がある。CECの大きい土壌(22me)は基肥増加により倒伏し減収する。玄米窒素含有率は、CECの小さい土壌では基肥増加により高まるが、CECの大きい土壌よりは値が低い(図2)。
3. これらより、5月上旬移植コシヒカリの適正収量及び玄米窒素含有率のための適正施肥量は、土壌CECによって地域分級が可能である。
具体的には、CEC15me以下では、基肥窒素を4kg/10a程度とし、CEC20me以上では、元々の収量水準が高く増肥すると倒伏により収量が低下するので基肥は2〜3kg/10a程度とし、追肥で生育調節する。
4. CECの地理的分布をGIS化した。例として灌漑湿性のグライ土に川の決壊で部分的に砂などが堆積し複雑な土壌を形成している北川辺町でのCEC分布を図3に示す。これによりCEC分布に基づいた施肥対応が視覚的に把握できる。

[成果の活用面・留意点]
1. GIS化はMapInfo Professionalを用いてシステム化した。各ポリゴンにはCEC数値やその他の土壌情報(土壌統ごとの化学性、物理性の代表値)が付随しているので細かい解析が可能である。
2. 穂肥施用量は玄米窒素含有率に強く影響すると思われるので、生育量で施肥判断する。
3. 収量や玄米窒素含有率は当然土壌や水系からの窒素供給にも強く影響されるので、それらを考慮して施肥診断する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土壌環境基礎調査
予算区分:国補(土壌保全)
研究期間:2003年度
研究担当者:佐藤一弘、相崎万裕美、丸岡久仁雄、久保田篤男

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