高速発酵処理装置による食品残さたい肥の油分の影響


[要約]
高速発酵処理装置で製造された、高粗脂肪を含有する食品残さたい肥は、土壌中約1000℃・日の積算気温で粗脂肪が分解される。しかしその後も植物の生育を抑制する。

[キーワード]食品残さ、高速発酵処理装置、たい肥、油分、熟度

[担当]埼玉県農総研・生産環境担当
[連絡先]電話 048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  食品リサイクルの推進や食品リサイクル法等の整備により、食品残さを原料とし高速発酵処理機で製造されるたい肥(コンポスト)の生産が急増しており、これらを安全に施用する指針が急務である。たい肥の熟度判定指標の一つとして古くからC/N比が用いられてきたが、食品残さたい肥はCN比は必ずしも高くないが、油分等が残存している可能性がある。これらの実態、土壌中での油分の動態と植物への影響を把握する。

[成果の内容・特徴]
1. 埼玉県内で生産された食品残さを原料とし高速発酵処理装置で製造されたたい肥の性状を調査したところ(n=16)、C/N比、重金属含有率は総じて低い。水分は通常のたい肥と比較すると非常に低く、油分(粗脂肪)は平均12%で、20%以上の非常に高いものが散見される(図1)。
2. 粗脂肪23%を含むたい肥を土壌に混和し15〜25℃でインキュベーションすると、日平均積算気温1000℃・日で粗脂肪は確認されなくなる。温度別の分解推移を同一積算温度上でプロットするとほぼ同一非線形線上に乗る(図2)。
3. 同たい肥を0〜8週間20℃で培養後化学肥料を同一量施肥してコマツナを播種すると、培養期間が増すにつれ生育は回復するが8週間培養(積算温度1120℃・日)で粗脂肪が残存していなくても対照(化学肥料のみ)に生体重は及ばない。一方脱脂処理されたたい肥は、対照に比べ窒素吸収量はやや多くなるが(危険率10%で有意差有り)、生体重は同程度(危険率10%で有意差無し)である(表2)。
4. これらから、高速発酵処理装置で短時間で製造された粗脂肪含有率の高いたい肥は、C/N比や土壌混和後の残存粗脂肪だけでは熟成を確認することができない。

[成果の活用面・留意点]
1. 粗脂肪分析では微量な揮発性脂肪酸までは捕捉できないが、揮発性脂肪酸等の影響を確認することも今後必要である。
2. 高速発酵処理装置で製造された粗脂肪含有率の高い食品残さたい肥は、他資材との2次発酵、植害試験による植物に対する安全性の確認が必須である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:食品等循環資源の農業利用技術開発
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:佐藤一弘、相馬文彦、秋場浩、久保田篤男、相崎万裕美
発表論文等:.佐藤(2003)土肥学会関東支部大会要旨集

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