有機物連用による窒素発現量を考慮した化学肥料の削減


[要約]
牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥と菜種油粕の単年度の窒素の年間分解率を推定し、年次別分解率を考慮した施肥体系により、初年度から総窒素肥料の50%を有機質由来で代替でき、化学肥料を削減できる。

[キーワード]牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、菜種油粕、堆肥の連用、窒素の年間分解率

[担当]神奈川農総研・農業環境部
[連絡先]電話 0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  有機質肥料や有機質資材を用いることにより、化学肥料の削減を目標とした栽培体型が推進されている。その一方で、有機物中の窒素の肥効を適正に評価せず、作物の安定生産を重視するために多施用となり、過剰な窒素が土壌中に蓄積し、硝酸性窒素による環境汚染を招くことが知られている。減化学肥料栽培と環境保全とが両立した有機質連用栽培を可能とするために、有機質投入時点とそれ以降の窒素の肥効を評価する。

[成果の内容・特徴]
1. 牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥と菜種油粕の窒素の1年間の分解率を土壌埋設よりそれぞれ、30、30、30、70%(豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥は1作目のみ70%)と推定し、残りの窒素を次作以降へ繰り越すことにより、作付け初年度より総窒素施肥量(各作10a当たり20kg)の50%を有機物由来の窒素で代替する(表1)。
2. 冬キャベツ、春レタス、スイートコーンの年3作の輪作で実証試験を行ったところ、化学肥料を100とした場合の牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥と菜種油粕での平均収量は、冬キャベツでは99、96、91、97、春レタスでは100、93、97、96(ただし、生育初期で障害を受けた1作目は除く)、スイートコーンでは、98、105、84、99となり、鶏ふん堆肥区のスイートコーン以外、化学肥料を単用した場合と同程度の収量が得られる(図1)。
3. 無窒素区の窒素吸収量を差し引いて求めた各栽培の窒素利用率は、3作目のレタスの牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん対肥区で化学肥料区を100%とした場合に対して80%を下回ることあったが、化学肥料を単用した場合とほぼ同等かそれ以上である(表3)。
4. 5年目春レタス跡地の30℃、4週間培養後の可給態窒素量は、乾土100g当たりで、それぞれ、牛ふん堆肥区8.6mg、豚ぷん堆肥区13.0mg、鶏ふん堆肥区12.0mg、菜種油粕区5.4mg、化学肥料単用区2.6mgであり、有機物の施用により可給態窒素が増加する。

[成果の活用面・留意点]
1. 各資材は単体で堆肥化されたものを使用しており、他の資材と混合されたものは窒素の分解率が異なる。
2. 全区とも試験開始前にカリ飽和度を3%程度に調整したが、牛ふん堆肥では初年度からカリ飽和度が7%以上となるため、資材に応じてカリについても化学肥料の施用量を調整する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:有機質資材施用基準設定試験
予算区分:国補
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:岡本昌広、坂本真理、木村一雄、山田裕

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