トマト、メロン育苗期に効果のある作物生育促進菌


[要約]
選抜したトマト育苗期に効果のある生育促進菌9菌株、メロン育苗期に効果のある作物生育促進菌2菌株は、個々の菌株を種子接種することにより、育苗期の生育を10%〜30%増加させる。

[キーワード]トマト、メロン、作物生育促進菌、育苗期

[担当]静岡農試・土壌肥料部
[連絡先]電話 0538-36-1556
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料、関東東海・総合研究
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  土壌微生物等を利活用した環境保全型施肥体系を確立するため、根圏細菌約9千株から、トマト、メロン育苗期に効果のある作物生育促進菌の選抜する。

[成果の内容・特徴]
1 選抜方法について、気温・日照条件等が制御された条件下で行う。また、菌の接種は播種前に菌液に浸漬することにより行う(表1)。
2 選抜した作物生育促進菌、A24、A40、A42、A68、B16、C25、C30、C31、C59の9菌株を、トマト種子に個々接種することにより、トマト育苗期の地上部重が8〜33%、根重が5〜19%増加する(表2表3)。
3 選抜した作物生育促進菌、A54、C30の2菌株を、メロン種子に個々接種することにより、メロン育苗期の根重が約10%増加する(表4)。
4 16SrDNAによる菌同定の結果、トマトに効果のあったA68は Pseudomonas veronii、B16はEnterobacter dissolvens、メロンに効果のあったA54はStreptomyces anti-bioticusと推定された。他の菌に関しては、未同定である(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1 トマトの場合、根圏細菌8896株の中から一次選抜法(平成12年度成果情報)で選抜した81菌株のうち、温室内でバーミキュライトを培土とした菌の選抜、及びトマト初期根長の長短による選抜、で効果の認められた15菌株を試験に供試した。
2 メロンの場合、根圏細菌8896株の中から一次選抜法で選抜した81菌株のうち、温室内でバーミキュライトを培土とした菌の選抜、及び温室メロン初期根長の長短による選抜、で効果の認められた14菌株を試験に供試した。
3 選抜された菌について、ほ場での試験や資材化を検討中。
4 生育促進効果のメカニズムは今後調査する予定。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:施設野菜栽培における根圏微生物の活用による環境保全型施肥、土壌病害制御技術
予算区分:地域基幹
研究期間:2003年度(1999〜2003年)
研究担当者:小杉徹、中村仁美、若澤秀幸

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