蒸煮爆砕処理による木材廃棄物の微生物担体化技術


[要約]
蒸煮爆砕処理した木材は、繊維質の熱分解と物理的繊維化を受け、微生物担体として有望なハニカム構造を有する処理物となる。同処理物においてバチルス属菌の増殖は、爆砕処理時に生成される酢酸の影響を受けるが、炭酸カルシウム資材の添加により改善される。

[キーワード]木材廃棄物、蒸煮爆砕、微生物担体

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発グループ
[連絡先]電話 0598-42-6362
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、建築リサイクル法の制定等により木材廃棄物の有効利用法が各方面で検討されている。従来、木材廃棄物はチップ等に変換され、堆肥の副資材あるいは農業用資材として農業利用が図られてきているものの、コスト面等から利用拡大には至っていない。
 そこで、新たな用途開発を目的に木材廃棄物の蒸煮爆砕処理による微生物担体化技術を検討する。なお、蒸煮爆砕処理とは、試料を耐圧容器中で高温、高圧の飽和水蒸気によって短時間蒸煮し、急激に大気圧に放出して断熱膨張により急速に100℃以下に冷却する技術である。

[成果の内容・特徴]
1. 1.6MPa(200℃)・10分で木材を蒸煮爆砕処理すると、軽量かつ保水性の良好な処理物が得られる(図1)。処理物の内部構造を走査電子顕微鏡により観察したところ、木材は繊維質の熱分解と物理的解繊を受け、微生物担体として有望なハニカム構造を有する処理物となる(写真1)。
2. 蒸煮爆砕処理物のpHは、蒸煮圧力が上昇するほど低下する。また、蒸煮中に活性な水による急速なヘミセルロースの加水分解とヘミセルロース中に存在するアリルエーテル基の加水分解により酢酸が生成する(図2)。
3. 爆砕処理物にバチルス属菌を接種したが、生成された酢酸の影響により抽出液中では増殖速度が遅く、処理物においては増殖が認められない。生成される酢酸の影響を改善するため、炭酸カルシウムを処理物に添加し、pHを7に矯正するとバチルス属は処理物および処理物の抽出物においても良好な増殖を示す(図3)。
4. 以上のことから、木材を炭酸カルシウム等のpH矯正資材とともに、蒸煮爆砕処理することにより微生物担体として有効な担体を作ることができる。

[成果の活用面・留意点]
1. 1.6MPa(200℃)以上の蒸煮条件においては、ハニカム構造の崩壊が生じる。
2. 本資材は、家庭用生ごみ処理機の副資材などとしても利用できる。
3. pHの矯正はできる限り急激な加水分解が生じにくく、かつ安価な炭酸カルシウム資材(カキガラなど)を用いることが望ましい。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:街路樹剪定枝等の爆砕蒸煮処理による資源化利用技術開発
生ごみ処理物を利用した高品質融合コンポスト製造システムの開発
予算区分:県単、独法委託(高度化)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:村上圭一、原 正之、小阪幸子
発表論文等:特許出願(特願2003-008982)

目次へ戻る