高窒素鶏ふん堆肥の水稲基肥としての施用時期


[要約]
窒素含有率が5%以上で、その50%を尿酸態窒素の形で保持している高窒素鶏ふん堆肥を水稲基肥に利用する場合、湛水による肥効の低下を考慮すると、粉状堆肥の場合は湛水前7日以内、ペレット堆肥の場合は14日以内に施用することが望ましい。

[キーワード]鶏ふん堆肥、ペレット、イネ、脱窒、肥効

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発グループ
[連絡先]電話 0598−42−6361
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  ウインドウレス鶏舎から排出される鶏糞は、密閉縦型発酵装置で堆肥化することで高窒素鶏ふん堆肥(窒素含有率5%以上、尿酸態窒素30mg/堆肥1g)となる。この高窒素鶏ふん堆肥は、品質が安定し、窒素の多くを尿酸態窒素で含有していることから速効性の肥料として水稲への利用が期待できる。しかしながら、水稲基肥に利用する場合、堆肥を湛水前に施用することが一般的であるため、湛水までに堆肥中窒素の硝化が進み、湛水によって脱窒が生じ、肥効が低下するおそれがある。そこで、湛水後の堆肥の肥効低下を明らかにし、適切な施用時期を検討する。その際、鶏ふん堆肥はペレット化により硝化が抑制されることが報告されていることから、堆肥の形状を粉状とペレットに分けて検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 高窒素鶏ふん堆肥は、粉状堆肥、ペレット堆肥ともに、畑条件の土壌では急速な無機化をし、可給態窒素は施用後7日目以降ほぼ平衡に達する。一方、硝化はペレット堆肥では抑制され、施用後14日の硝化率が粉状堆肥では40%以上であるのに対し、ペレット堆肥では10%程度である(図1)。
2. 高窒素鶏ふん堆肥は、粉状堆肥、ペレット堆肥ともに、施用後14日以上経過した後に湛水すると、畑条件下で無機化された窒素量が湛水後に減少し、湛水後の無機態窒素量は、湛水直前の土壌中の無機態窒素量から硝酸態窒素量を除いた量にほぼ相当する(図1)。
3. 湛水による無機態窒素の減少率は、粉状堆肥では施用から14日目に湛水すると30%程度が減少するのに対して、ペレット堆肥では10%以下と低い(図3)。
4. 高窒素鶏ふん堆肥を施用した場合に水稲に利用される窒素量は、施用から湛水までの日数が経過するほど減少し、粉状堆肥では施用後7日、ペレット堆肥では14日以上経過して湛水すると水稲にほとんど利用されない(図4)。
5. 以上のことから、水稲基肥へ利用する高窒素鶏ふん堆肥は湛水前7日以内に施用することが望ましいが、湛水による肥効の低下が少ないペレット堆肥を用いる場合は湛水前14日以内まで施用が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. 高窒素鶏ふん堆肥の効率的な利用促進技術となる。
2. ディスクペレッタ―方式で作成された直径5mmの円筒状のペレット堆肥による結果である。
3. 硝化が急速に進行するような場合には、肥効がより早く低下する恐れがあるので留意する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:農林水産バイオリサイクル研究
予算区分:国庫委託
研究期間:2000〜2004年度
研究担当者:竹内雅己、原正之

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