弱毒ウイルスB-33株の予防接種によるわい性リンドウのウイルス病防除


[要約]
ウイルスフリー苗の配布体制をとっているわい性リンドウは、屋外圃場でインゲンマメ黄斑モザイクウイルスの再感染により著しく生育が抑制されるが、弱毒ウイルスの予防接種によりこのウイルス病を防止できる。

[キーワード]弱毒ウイルス、予防接種、わい性リンドウ、インゲンマメ黄斑モザイクウイルス、ウイルス病防除

[担当]埼玉農総研・生物機能担当
[連絡先]電話 0480-21-2095
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  埼玉県の地域特産作物の一つである栄養繁殖性のわい性リンドウは、そのウイルス病対策として埼玉県種苗センターから組織培養によるウイルスフリー苗が配布されている。ウイルスフリー苗は一般に販売されるまでに2年以上の栽培期間を要するため、屋外圃場におけるインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(Bean yellow mosaic virus: BYMV)の再感染によるウイルス病の被害が著しい。そこで、このウイルス病の発生を予防するために、安全で効率的な弱毒ウイルスの利用法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. BYMV感染によるわい性リンドウは全般的に生育不良や株張り不良となり、商品価値が著しく低下する(図1)。
2. 自然界から選抜したBYMVの弱毒ウイルスB-33株は、BYMVの強毒ウイルス35-1株に対して干渉効果を有する(表1)。
3. 弱毒ウイルスB-33株をわい性リンドウ、インゲンマメ、ソラマメ、エンドウマメ及びトルコギキョウに接種しても、それらの生育にはほとんど影響を及ぼさない。
4. 弱毒ウイルスB-33株を接種したわい性リンドウは、組織培養及び挿し木繁殖することにより容易に増殖・育成が可能である(図2)。
5. BYMVの弱毒ウイルスB-33株を予防接種したわい性リンドウ苗を現地栽培した結果、対照としたウイルスフリー苗は高率にBYMVが再感染して生育が抑制されるのに対し、弱毒ウイルスの予防接種苗は無症状で生育も良好であり、予防効果が認められる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 現在、埼玉県種苗管理センターから配布しているわい性リンドウのウイルスフリー苗の代わりに弱毒ウイルス予防接種苗を増産し、生産農家に配布する予定である。
2. 圃場栽培でソラマメウイルトウイルス(Broad bean wilt virus)が重複感染すると品質が低下することから、3年程度で種苗更新することが適当である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:わい性リンドウのウイルス病制御技術の開発
予算区分:国補(先端技術)
研究期間:1996〜2001年度
研究担当者:宇賀博之、庄司俊彦、小林有紀(北農研)、大村敏博(中央農研)、本田要八郎(中央農研)
発表論文等:1) Uga et al. (2002) J. Gen. Plant Pathol. 68: 378-381
2) Uga et al. (2004) J. Gen. Plant Pathol. 70: 54-60

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