レタス根腐病レース2発生畑土壌からの病原菌レース2簡易検出法


[要約]
自然土壌中の多種多様な微生物の中からFusarium oxysporumのみを選択的に分離する一次分離と、一次分離されたF. oxysporumからレタス根腐病菌レース2が有する特異的な栄養(ビオチン)要求性を特定する2段階の分離方法により、レタス根腐病菌レース2を汚染土壌から簡易に検出できる。

[キーワード]Fusarium oxysporum,レタス根腐病菌,栄養要求性,分離方法,簡易検出

[担当]長野県野菜花き試・病害虫土壌肥料部、九州沖縄農研セ・野花保護チーム
[連絡先]電話 026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)、関東東海・総合研究
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  土壌伝染性病害対策として輪作、抵抗性品種の作付、薬剤処理などがあるが、それらの対策が土壌中の病原菌に与える影響については解明すべき点が多い。さらに、生産現場からは病原菌伝播を解明するための検出手法の開発に対する要望が強い。そこで、本病菌レース2に特異的な栄養要求性をマーカーとして用い、土壌中からのレタス根腐病菌(レース2)の定量的な検出法について検討し、本病菌の生態的研究の一助とする。

[成果の内容・特徴]
1. 方法(手順-図1)
本手法は選択培地でFusarium oxysporum(FO)のみを分離する一次分離と、一次分離されたFOからMMにてレタス根腐病菌, F. oxysporum f. sp. lactucaeレース2を特定する2次分離の2段階とする。
(1) 病原菌汚染土壌20gを殺菌水180mlの入った500mlフラスコに加え、20分間振盪培養し、一次希釈液(10倍)を得る。
(2) 振盪後得られた一次希釈液を任意に希釈し、希釈液の0.5〜1mlを通常の100倍希釈の場合はFo-G1培地に、10倍希釈の場合は検出感度が向上されたFo-G2培地(西村,2002)に滴下して培地全面に広げ、表面を軽く乾燥させて25℃で7〜14日培養する。
(3) 生育したF.oxysporumコロニーの一部を白金耳で掻き取り、最少培地「MM(Puhalla, 1985)」へ移植する。
(4) 25℃、7日間培養後、最少培地平面上のコロニー形態(図2)を観察し、気中菌糸を形成しない特徴的なコロニーを表すものを本病菌レース2と判定する。
(5) Fo-G1培地の組成は以下の通りである。
KH2PO4,:1g, 塩化カリウム:0.5g, 硫酸マグネシウム:0.5g,クエン酸水素二アンモニウム:2g,ホウ酸:0.5g,硝酸エコナゾール:5mg,Fo-G 微量要素液*:0.2ml,クロラムフェニコール:0.25g,寒天:20g,蒸留水:1L,ソルボース**:20g,ベフラン液剤**: 0.05ml,リゾレックス水和剤**:1mg,pH 3.7-3.9*** ,(*Fo-G 微量要素液,クエン酸:5g,FeSO4・7H2O:5g,ZnSO4・7H2O:1g,CuSO4・5H2O:0.5g,MnSO4・5H2O:0.5g,Na2MoO4・2H2O:0.05g,蒸留水:95ml,**オートクレイブ滅菌後湯煎にかけながら加える,***培地温度を55℃に下がってから10%リン酸で調節する。)
2. 特徴
(1) 根腐病発生畑から分離したFOの場合、MMで特徴的なコロニーを示す菌株は全てビオチン要求性であり、レース判別品種に対する病原性よりレタス根腐病菌レース2と判断できる(表1)。
(2) 本法により本病原菌レース2が定量的に簡易検出できることから、分離したFOの寄主植物に対する接種試験を省略できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本手法はレタス根腐病菌レース2の検出法であり、他レース(非ビオチン要求性)の検出や本圃での発病を予測することはできない。
2. 本手法の実施には、無菌作業等が可能な一定の実施環境条件が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:臭化メチル代替新防除技術を核とした野菜類の持続的安定生産技術の確立
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:藤永真史、小木曽秀紀、西村範夫

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