天敵寄生蜂を用いた長期抑制ミニトマト栽培のIPM体系


[要約]
長期抑制ミニトマト栽培のマメハモグリバエとコナジラミ類に対して、天敵寄生蜂およびピリプロキシフェンテープ剤と他の害虫防除法を組み合わせたIPM体系は、有効性と経済性が慣行防除に勝る。

[キーワード]抑制ミニトマト、マメハモグリバエ、コナジラミ類、天敵寄生蜂、IPM

[担当]静岡農試・病害虫部
[連絡先]電話 0538-36-1557
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  静岡県のミニトマト栽培ではマメハモグリバエ、コナジラミ類が主要な害虫となっている。これらに対して、これまで天敵寄生蜂の防除効果を個別に検証してきたが、その結果をふまえ総合的害虫管理(IPM)体系を策定した。現地の長期抑制ミニトマト栽培において、このIPM体系の有効性と経済性を検証する。

[成果の内容・特徴]
1. 長期抑制ミニトマト栽培におけるIPM体系の試験区として、天敵寄生蜂と選択性殺虫剤を中心とした防除体系区(IPM(1))と天敵寄生蜂とピリプロキシフェンテープ剤と選択性殺虫剤を中心とした防除体系区(IPM(2))を設定した。
2. IPM(1)では、定植時にクロロニコチニル系粒剤を施用し、定植約1ヶ月後にマメハモグリバエに対してイサエアヒメコバチとハモグリコマユバチ(各0.4頭/株)、コナジラミ類に対してオンシツツヤコバチ(7.7頭/株)を放飼する。コナジラミ類の発生状況に応じて10〜11月と3月上旬及び4〜5月にピリジンアゾメチン系水和剤等選択性殺虫剤を散布する。
3. IPM(2)では、定植時にクロロニコチニル系粒剤を施用し、定植約1ヶ月後にマメハモグリバエに対してイサエアヒメコバチ(0.3頭/株)、コナジラミ類に対して定植後ピリプロキシフェンテープ剤を処理する。コナジラミ類の発生状況に応じて年内及び3月上旬にピリジンアゾメチン系水和剤等選択性殺虫剤を散布する。
4. いずれの区もチョウ目害虫の防除は、Bt剤やマクロライド系剤などの選択性殺虫剤を中心に散布する。
5. IPM(1)、(2)は、マメハモグリバエに対して慣行防除に比べ低い寄生密度に維持できる。(図1)。コナジラミ類に対しては、IPM(1)の天敵寄生蜂よりIPM(2)のピリプロキシフェンテープ剤の方が防除効果は高かったが、いずれの体系とも慣行防除の寄生密度以下または同程度に維持できる(図2)。チョウ目害虫に対しては、いずれの体系とも慣行防除に比べ低い寄生密度で維持できる(図3)。
6. IPM体系は、慣行防除に対して化学殺虫剤の使用数が52〜62%、殺菌剤を含めた化学農薬の使用数が、45〜55%削減できる(表1)。
7. IPM体系は、慣行防除に対して農薬費は47〜71%高くなるが、延べ労働費を含めた防除経費は16〜18%削減できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本IPM体系では、物理的防除(天窓や側窓への防虫ネットの設置など)と耕種的防除(施設周辺の除草など)の併用が防除効果を高める。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:施設トマトにおける総合的害虫管理技術の確立
予算区分:国委
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:杉山恵太郎、西東力、片山晴喜、太田光昭、小沢朗人
発表論文等:杉山(2002)今月の農業46巻12号:18-23

目次へ戻る