非病原性フザリウム菌処理によるメロンつる割病の防除と労力・経済効果


[要約]
接木処理に替え、非病原性フザリウム菌を土壌消毒後に処理することでメロンつる割病の防除が可能で、これにより育苗期の労力、コストが軽減できる。

[キーワード]メロン、つる割病、土壌病害、非病原性フザリウム

[担当]静岡農試 病害虫部
[連絡先]電話 0538-36-1557
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  温室メロンではつる割病防除のため、栽培用ベッドの土壌を蒸気消毒し、さらに抵抗性台木への接木を行っている。接木処理は高度な技術が必要で、労力面で負担が大きいなど、接木処理が不要となる栽培方法の確立が求められている。そこで当場で選抜した非病原性フザリウム菌について現地で適用性及び経済・労力面からの検討を行い、実際に現場で活用できる技術とする。

[成果の内容・特徴]
1. 非病原性フザリウム菌の増殖用培地は「乾燥モルト+炭化モルト培地」が施用し易く、菌の増殖も良い。同培地は乾燥モルト、炭化モルト、水を1:9:3の割合で混合し、200ml毎にプラスチック容器に詰め、アルミホイルで蓋をしたのち120℃20分でオートクレーブして作成する。
2. 育苗土にのみ非病原性フザリウム菌を処理した場合には防除効果はないが、ベッド土壌にのみ処理した場合と、育苗土・ベッド土壌双方に処理した場合には、ともに高い防除効果がある。(表1
3. 乾燥モルト+炭化モルト培地を利用した場合、菌の処理量は66〜88ml/m2で安定した効果があり、現状では毎作実施する蒸気消毒の回数も削減できる。
4. 非病原性フザリウム菌処理区は、接木栽培区と比較して育苗期の作業時間が1作当り10時間、年間359時間の省力化ができる。さらに、蒸気消毒回数を2作に1回とすると1作当たり16.8時間、1年間では606時間の削減となる。(表2
5. 一般的メロン温室(158.4m2・360株定植)において、接木処理と比較して種苗費と育苗期の労賃で1作当り19,677円が削減できる。一戸(同温室8棟、4.5作)あたり、年間合計529,812円のコスト削減ができる。さらに、蒸気消毒回数を2作に1回とすると1作当たり35,270円、1年間では1,269,727円が削減できる。(表3
6. 本研究で用いた非病原性フザリウム菌株は市販されていないため単価の設定はできないが、施用量88ml/m2と設定した場合の必要量は約14リットル/棟で、非病原性フザリウム施用と蒸気消毒回数を2作に1回とした場合に25,193円/10リットル以下であれば、生産者の負担増加無しに導入可能であり、コスト的に見合う。

[成果の活用面・留意点]
1. 非病原性フザリウム処理の場合は蒸気消毒によりつる割病菌の菌量を減少させておくことが必須で、つる割病菌の菌濃度が高い場合には効果が劣る。
2. 生物農薬として農薬登録がされていないため、現地での利用は登録後となる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:施設野菜栽培における根圏微生物の活用による環境保全型施肥、土壌病害制御技術
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度(平成11〜15年度)
研究担当者:鈴木幹彦、外側正之、市川健、中川孝俊、土井誠
発表論文等:1)市川健ら (2002) 植物病理学会2002年大会 口頭発表

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