有用微生物を担持させたビール粕炭造粒品によるイチゴ萎黄病の防除


[要約]
非病原性フザリウム菌(MFG6菌)をビール粕の炭化物とゼオライトの混合造粒物(ビール粕炭造粒品)に処理し、イチゴの育苗培土に使用すると、萎黄病の防除ができる。ビール粕炭造粒品の育苗培土への全量使用は、慣行と同程度の苗生産が可能である。

[キーワード]非病原性フザリウム菌、ビール粕炭造粒品、イチゴ、萎黄病、育苗培土

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発グループ
[連絡先]電話 0598-42-6360
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  イチゴ萎黄病は、難防除な土壌病害であり、国内に普及する品種の多くが本病に罹病性であることから、問題となっている。また、本病を対象とした土壌消毒剤の使用は年々難しくなってきており、新たな防除手法の開発が求められている。そこで、イチゴ萎黄病の防除効果のある非病原性フザリウム菌(以下MFG6菌)を選抜したことから、MFG6菌をビール粕炭造粒品に処理し、育苗培土として使用することによる防除効果と、ビール粕炭造粒品の育苗培土の適性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ビール粕炭造粒品はビール粕の炭化物とゼオライトの混合造粒物である。乾燥品のかさ比重は0.4g/mL、粒径は1.4〜4.7mmで、5〜10マイクロメートルの無数の孔隙を有する多孔質資材である(図1)。
2. MFG6菌は、当研究部内の土壌から分離したF.oxysporum菌であり、イチゴのロックウール栽培において、萎黄病の防除効果は高い(データ省略)。
3. MFG6菌のビール粕炭造粒品での繁殖は、滅菌後のビール粕炭造粒品にジャガイモ液体培地で培養した菌液を百万bud-cells/mLの菌密度で50mL/L混和することにより容易にできる。
4. 品種「サンチーゴ」では、MFG6菌を処理したビール粕炭造粒品、ロックウール、園芸培土をそれぞれ全量充填した育苗ポットの苗に、病原菌を灌注接種すると、ビール粕炭造粒品区は、ロックウール区や園芸培土区に比べ、MFG6菌処理による萎黄病の防除効果が高い(表1)。また、萎黄病菌汚染圃場で土耕栽培したところ、ビール粕炭造粒品区は園芸培土区に比べ、MFG6菌処理による萎黄病の防除効果が高い(表2)。
5. ビール粕炭造粒品に処理されたMFG6菌は、育苗開始191日後においても培地中の高い生存性が確認され、通常の育苗管理による菌の生存への影響は少ない(データ省略)。
6. 品種「章姫」では、ビール粕炭造粒品を育苗培土に全量使用は、慣行の育苗培土と比較して苗取り作業をはじめ水管理にかかる問題はなく、慣行と同程度の苗生産が可能である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. ビール粕炭造粒品は造粒物であることから、取り扱い時の粉塵の飛散がほとんど認められず取り扱いが容易である。
2. ビール粕炭造粒品を用いたMFG6菌処理技術の実用化は、検討中である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:資源循環型農業生産技術と環境修復に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2001〜2004年度
研究担当者:黒田克利、鈴木啓史、冨川章、田中一久、伊藤寿国*、山本哲*(*石塚硝子(株))
発表論文等:特許出願(特願2003-83108)

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