パスツーリア菌は水とともに処理すると胞子付着効率が高い


[要約]
パスツーリア菌胞子懸濁液は、黒ボク土壌表面処理後に1平米当たり20Lの水を灌水するか、同量の水で灌注処理すると、サツマイモネコブセンチュウに対する胞子付着効率が高い。

[キーワード]パスツーリア菌、サツマイモネコブセンチュウ、胞子付着効率

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発グループ
[連絡先]電話 0598-42-6360
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  ネコブセンチュウ類の天敵であるパスツーリア菌は、生物農薬として実用化されている。しかし、パスツーリア菌は遅効的であり、防除効果が発揮されるまでには、数回の作付けを経過して増殖し、土壌中の菌密度が高まる必要がある。
 そこで、パスツーリア菌の増殖をできる限り促進するため、サツマイモネコブセンチュウに対する胞子付着が効率的となる土壌への処理法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 1平米当たりパスツーリア菌胞子10億個または50億個を100mLの水に懸濁させて土壌表面処理し、直ちに20Lを灌水すると、サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する胞子付着率及び1頭当たり胞子付着数は、2L灌水に比べて高くなる(表1)。
2. 1平米当たりパスツーリア菌胞子20億個を混和処理した場合においても、処理後に20Lを灌水する(表2)と、灌水しなかった場合に比べて胞子付着率は非常に高くなる。また、サツマイモネコブセンチュウ1頭当たりの胞子付着数も灌水した方が多い(表3)。
3. 1平米当たりパスツーリア菌胞子20億個を20Lの水に懸濁させて灌注処理するか、または、5Lの水に懸濁させて灌注後、直ちに15Lを灌水する(表2)と、混和処理と比較してサツマイモネコブセンチュウに対する胞子付着率がさらに向上する。また、胞子付着数も、混和処理と比較して多い(表3)。
4. 以上のことから、パスツーリア菌胞子懸濁液を黒ボク土壌表面処理後に1平米当たり20Lを灌水するか、同量の水で灌注処理する方法は、サツマイモネコブセンチュウに対する胞子付着率及び1頭当たり胞子付着数が高くなり、効率的である。

[成果の活用面・留意点]
1. パスツーリア菌処理時の胞子付着効率を高めることにより、土壌中における本菌の速やかな増殖を促進することが期待できる。
2. パスツーリア菌製剤の登録取得内容は、使用量が「1平米当たり胞子10〜50億個」、使用方法が「土壌表面に散布して混和(ただし、イチジクは土壌表面に散布)」である。
3. 灌注処理は土壌混和のための耕起作業が不要であり、省力的である。ただし、登録されている使用方法と異なるため、利用するには登録内容の変更が必要である。
4. 本研究で供試した土壌は、黒ボク土壌であり、他の土壌では未検討である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ア.イチジクのネコブセンチュウ防除対策
イ.新素材メチオニンを核とした環境保全型有害土壌線虫防除技術の確立
予算区分:県単
研究期間:ア.1997年度、イ.2003年度
研究担当者:ア.北上達、イ.北上達、西野実

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