トマト萎凋病に対する熱水土壌消毒効果向上のための有用微生物の利用


[要約]
トマト萎凋病に対する熱水土壌消毒の効果は、シュードモナス・フルオレッセンス剤の育苗培土処理、または非病原性フザリウムF13菌株の本圃混和処理を組み合わせることで向上する。

[キーワード]トマト、萎凋病、熱水土壌消毒、有用微生物

[担当]中央農研・病害防除部・土壌病害研究室
[連絡先]電話 029-838-8836
[区分]関東東海北陸・関東東海・病害虫(病害)、共通基盤・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、土壌くん蒸剤に代わる土壌消毒技術として熱水土壌消毒法が開発され、農業現場に普及しつつある。本法は消毒に必要な十分量の熱水を圃場に注入することにより、比較的安定した病害防除効果が得られる。しかし、透水性の悪い圃場での熱水処理や燃料コスト削減のため熱水処理量を減らしたい場合では、効果の低下が懸念される。そこで熱水土壌消毒に有用微生物処理を組み合わせることで、熱水土壌消毒の効果の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. トマト萎凋病菌(レース2)高濃度汚染圃場を熱水処理した後、シュードモナス・フルオレッセンス剤(FPH-9601菌,FPT-9601菌 各107cfu/g培土含有、以下Pf剤と略)を処理したトマト苗を定植すると、熱水のみでは防除効果がやや劣る程度の熱水注入量とした場合でも、Pf剤処理の併用によって熱水処理のみの場合に比べて発病抑制効果が向上し、その効果は一定期間維持される(図1)。
2. トマト萎凋病菌(レース2)高濃度汚染圃場を熱水処理し、約1週間後に非病原性フザリウムF13菌株(Fusarium oxysporum F13、以下F13菌と略)のフスマ培養菌体250 g/m2を深さ約30cmまで混和した後、トマト苗を定植すると熱水処理のみの場合に比べ初発生から一定期間、発病抑制効果が向上する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験は中央農研のハウス内黒ボク土圃場で行い、長期間の栽培および次作での有用微生物の効果や収穫量については検討していない。
2. Pf剤は、熱水処理後の土壌中の病原菌密度が高い場合には、その有効性が発揮されない。
3. トマト萎凋病に対してPf 剤およびF13菌は農薬登録されていない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:熱水処理による土壌消毒技術の確立
課題ID:03-01-05-01-03-03
予算区分:地域総合(東海地域施設野菜)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:中保一浩、竹原利明、仲川晃生

目次へ戻る