非病原性Fusariun equiseti と生分解性ポットを組み合わせた土耕栽培のトマト根腐萎凋病の防除


[要約]
生分解性ポット移植時までに2回Fusarium equiseti 菌処理を行い育成した苗を、生分解性ポットとともに圃場に定植することで、土耕栽培におけるトマト根腐萎凋病の発生が効果的に抑制できる。

[キーワード]生分解性ポット、Fusarium equiseti、トマト根腐萎凋病

[担当]岐阜農技研・環境部・栽培部
[連絡先]電話 058-239-3135
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
  トマト等の野菜生産現場では土壌病害が重大な被害をもたらし、作物生産を阻害する主要な要因となっている。その対策として、従来は主として化学農薬を用いた土壌消毒が行われてきたが、環境保全型農業推進などの観点から、農薬を使用しない防除技術に対する注目が高まっている。そこで、ロックウールを使用した養液栽培においてトマト根腐萎凋病と萎凋病に対して高い発病抑制効果を示した有用微生物を利用して、土耕栽培におけるトマト根腐萎凋病に対する生物防除技術の開発を目的とする。

[成果の内容・特徴]
1. Fusarium equiseti (以下GF191と略記)はコウライシバの根圏土壌から分離された糸状菌で、トマト、シバ、コムギ、キュウリ等に非病原性で、これら植物の生育を促進する効果がある。生分解性ポット(以下BPと略記)はトウモロコシ等の穀物を主原料とした生分解性樹脂を成型したポットで、今回、供試したBPはポリ乳酸系の種類で、土に埋めると2週間後から分解が始まり約3ヶ月には土壌中のBPは分解される。
2. 土耕栽培のトマト根腐萎凋病に対して、GF191の胞子懸濁液(107budding-cells/ml)を128穴のセルトレイ播種時と12cm径ポット移植時に、それぞれ10ml、100ml処理する。その約20日後にBPへ苗を移し替え、BPとともに苗を根腐萎凋病汚染圃場(病原菌密度1.0×104cfu/g soil )に定植する(図1)。
3. GF191とBPを組み合わせた時のBP内の土壌中のGF191の菌量は、試験期間を通じてBPを利用しなかった時に比べ1.7〜19.1倍高く推移する(図2)。
4. GF191とBPを組み合わせた時のBP内の土壌中での病原菌量は、病原菌のみを接種した時と比較して1/6〜1/23と低く推移する(図3)。
5. GF191とBPとの組み合わせ処理は、GF191単独処理やBP単独処理と比較して安定した高い発病抑制効果がある(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. BPの分解速度は、地温等に影響を受ける。BPの分解が早い場合は、発病抑制効果が低下する場合がある。
2. BPと共に苗を定植した場合、定植初期はBPの外側に根が伸長しないため、トマトの初期生育は抑制される。また、定植初期はBP内に水がかかるように注意する。
3. Fusarium equiseti (GF191)は、平成16年2月現在、農薬取締法に基づく登録がされていないので、試験研究以外には使用できない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土壌病害抑制機構の解析及び抑止型土壌の研究
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:堀之内勇人、勝山直樹、百町満朗(岐阜大学)

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