晩播「あやこがね」を導入した大豆収穫適期日数の拡大と豆腐のうま味向上


[要約]
標準播「エンレイ」のみの作付体系に晩播「あやこがね」を組み合わせることで収穫適期日数が拡大し、コンバインの刈取可能面積が1.5倍に拡大される。「あやこがね」を晩播する場合の適正栽植密度はm2当たり16〜19本、晩播により減収するが、百粒重は変わらず、豆腐のうま味が増す。

[キーワード]あやこがね、晩播、収穫適期、栽植密度、豆腐、うま味

[担当]新潟農総研・作物研、食品研、高冷地農技、佐渡農技、中山間農技
[連絡先]電話 0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  新潟県における大豆作付品種は中生の「エンレイ」が95%以上を占め、収穫時期の集中から刈り遅れによる品質低下が生じている。そこで、晩生品種「あやこがね」の特性を生かした栽培法を確立し、中生品種「エンレイ」との熟期分散により、収穫機械の有効利用と品質向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 標準播「エンレイ」のみの作付体系に対して、晩播「あやこがね」を組み合わせた体系では収穫適期日数が7日拡大され、収穫適期期間は20日になる。晩播「あやこがね」の導入により、刈取可能面積は1.5倍に拡大され、刈り遅れの回避と収穫機械の有効利用につながる(表1)。
2. 刈取可能面積を最大にする晩播「あやこがね」の作付割合は約3〜6割である(図1)。また、6割をこえる作付けは収穫適期を外れ、刈り遅れが生じる。
3. 晩播「あやこがね」は密植により主茎長が伸び、最下着莢高は高くなる。また、主茎長が約70cmをこえると倒伏程度が高まる(図2)。
4. 機械収穫に適する草姿を主茎長70cm未満、最下着莢高10cm以上に想定した晩播「あやこがね」の適正栽植密度は、m2当たり16〜19本である(図2)。
5. 「あやこがね」は晩播栽培(6月20日頃)によって、生育量と莢数の低下から減収するが、百粒重の低下は見られない。また、栽植密度が収量に与える影響は小さいが、密植により減収程度は少なくなる(表2)。
6. 「あやこがね」を6月下旬以降に播種すると、地域や年次によって、収量や百粒重が著しく低下することがあるので、遅くとも6月20日頃までに播種する(図3)。
7. 「あやこがね」の豆腐は、エンレイと比較して少し軟らかいものの、晩播によってうま味が増す(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 梅雨期にあたる晩播は、砕土や播種精度の悪化が予想されることから、晩播「あやこがね」は、麦あとや播種作業の終盤を想定する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:大豆の大規模生産における高品質安定栽培技術の確立
予算区分:県単特別、国委
研究機関:2000〜2002年度
研究担当者:服部誠、田村良浩、宍戸功一、横山泰之、渡邉千恵、横山和男、金井政人、後藤和義、高橋都志恵
発表論文等:服部・田村(2003)北陸作報38:53-54.

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