水稲の湛水土中点播栽培における茎質向上技術


[要約]
「コシヒカリ」の湛水土中点播栽培における1株当たりの播種面積を小さくすることにより低節位および高節位の無効分げつの発生が少なくなり茎質が向上する。その結果、1穂籾数が確保されるとともに、倒伏が軽減される。

[キーワード]湛水土中点播栽培、播種法、分げつ、茎質、倒伏

[担当]富山農技セ・農業試験場・機械営農課
[連絡先]電話 076-429-5280
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  富山県では「コシヒカリ」による直播栽培面積が年々増加し、平成15年度には722haと水稲作付面積の1.8%に達している。また、近年の温暖化傾向の中、異常高温を回避し作期を分散するためにも、直播栽培は有効である。しかし、直播栽培は移植栽培に比べ、茎質が劣るために、倒伏しやすくなるとともに、籾数を確保しにくいために、収量はやや低い状況にある。そこで、湛水土中点播栽培において1株当たりの播種面積を変えた場合の分げつ発生と茎質の関係を解明し、茎質向上により倒伏を軽減するとともに、1穂籾数を確保し、安定した収量を得るための播種方法の開発を目指す。

[成果の内容・特徴]
1. 「コシヒカリ」の湛水土中点播栽培における1株当たりの播種面積(図1)が小さいほど最高分げつ期における主稈第1節からの1次分げつ、および、主稈第1〜3節からの2次分げつの出現率が低くなる。また、主稈第1、2節からの1、2次分げつおよび5節からの1次分げつの無効茎が少なくなり、株全体の有効茎歩合が高くなる。その結果、播種面積が小さいほど登熟期の平均1茎重が大きくなる(図2)。
2. 湛水土中点播栽培では主稈および主稈第2〜5節からの1次分げつが太く充実し、1穂籾数が多くなる(図3)。太い茎で安定して籾数を確保するためにはこれらの茎を中心とした分げつ構成が望ましく、1株当たりの播種面積が小さいほど主稈第2〜5節からの分げつを中心とした構成となる(図2)。
3. 1株当たりの播種面積が小さいほど穂数が少なくなるものの、1茎重が大きくなり、1穂籾数が多くなる。その結果、m2当たり籾数が確保される(表1)。
4. 1株当たりの播種面積が1×1cmと小さくなると茎が太く、挫折強度は大きくなる。また、1株当たりの播種面積が小さいほど耐倒伏性が高くなる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 点播播種機等の改良や調節等に資する知見として活用できる。
2. 播種法として打ち込み式点播を用いる場合は播種時の走行速度や繰り出しロールの調節、改良が必要である。
3. 播種面積を小さくするその他の播種法としてマット式直播、複粒点播法等を活用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:高精度複粒播種法を活用した超省力高位安定水稲直播栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:高橋 渉、鍋島弘明、野村幹雄、荒井清完

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