省力的なチューリップ各種ウイルス病の多検体診断法


[要約]
チューリップに発生する主要ウイルス(TBV、TMMMV、TuSV)の診断作業は、20〜60本の茎を束にして切断し、断面をニトロセルロース膜に押しつけ、これをTBIA法によって診断することにより、大幅に省力化される。

[キーワード]チューリップ、TBV、TMMMV、TuSV(仮称)、TBIA法、省力化

[担当]富山農技セ・野菜花き試験場・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  富山県ではチューリップの健全種球根を確保するため、生産者団体(球根農協)が中心になってTBIA法によるウイルス検定(対象ウイルス:TBV、TMMMVほか)が実施されている。この年間約十万検体(×ウイルス数)もの検定作業は、開花後の数週間に集中し、非常に大きな労力負担となっている。また、検査結果を早急に生産者に伝える必要があるため、作業には迅速性が強く要求される。そこで、作業時間の大半を占めるニトロセルロース膜への転写工程(スタンプ作業)の簡便化を図り、省力的かつ迅速なウイルス検定法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. TBIA法は図1に示した、簡易法を用いる。
2. 圃場から採集した長さ10〜20cmの茎を20〜60本づつ輪ゴムで束にし、刃物(包丁)で切断して茎断面をニトロセルロース膜(NS膜)に押しつけることにより、慣行の茎1本ずつを押しつける方法に比べてスタンプ作業に要する時間は大幅に短縮される(表1)。
3. 茎を束にして切断するため、刃物に付着した汁液が隣接株を汚染することがある。チューリップモザイクウイルス(TBV)では、茎表皮組織が強く発色するため、刃物による汚染と感染株の発色を識別しづらいが、チューリップ微斑モザイクウイルス(TMMMV)やチューリップ条斑ウイルス(TuSV:仮称)では、茎表皮組織の発色が殆ど無いことから、判定は容易である(図2)。
4. 本法(束切りスタンプ法)で調査した感染率は、TBVにおいて慣行法に比べて高く判定される試料があるが、いずれのウイルスでも慣行法とほぼ一致する(図3)。
5. 茎の同一切断面を連続してスタンプしても、2〜3回目までは十分な発色が得られる。
6. 以上から、本法は多数の検体について感染株の有無あるいはおおまかな感染率を知るのに有効な方法である。

[成果の活用面・留意点]
1. 本法を用いることにより、現地(生産者団体)におけるウイルス検定作業の大幅な省力化を図ることができる。
2. 茎の束は鋭利な刃物で垂直に切断するとともに、切断面の全面がNS膜に転写されるように押しつける。刃物を介した汁液の汚染を防ぐため、刃物は使用するたびに洗浄する。
3. 検定するウイルス数と同数のNS膜に転写し、それぞれを各ウイルス抗体で処理する。
4. TBV、TMMMV、TuSV以外のウイルスについては、本法の有効性を別途検討する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:高精度検出診断技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:守川俊幸、森井 環、多賀由美子

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