いもち病育苗期感染苗の本田持込み後の病勢進展


[要約]
育苗期感染苗を含む補植苗は、降雨による葉面の濡れにより病勢進展する。発病が畦畔から確認できる程度に増殖すると本田株への広範な感染が起こり、全般発生開始期には半径およそ700mに感染が及ぶ。感染苗を本田に移植した場合は、移植時期が遅いほど、移植後の湛水深が浅いほど本田発生につながりやすい。

[キーワード]イネ、いもち病、感染苗、本田持込み、伝染源、病勢進展

[担当]新潟農総研・作物研・栽培科(病害)
[連絡先]電話 0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  いもち病防除の基本技術として本田への伝染源持込み防止の重要性が指摘されている。これまで育苗期に感染した苗が本田に持込まれることにより、葉いもちの伝染源になることは知られていたが、どのような過程を経て、また、どのような条件で本田の葉いもち発生に結びつくかが不明で、その影響も明らかでなかった。そのため、生産現場では伝染源持込み防止策が徹底されていない現状にある。
 そこで、育苗期感染苗が補植用置苗(以下「補植苗」とする)あるいは移植株として本田に持込まれた場合の病勢進展過程を明らかにし、生産現場での伝染源持込み防止策の普及に資する。

[成果の内容・特徴]
1. 育苗期感染苗を数本含む補植苗では、本田放置後、明瞭な病斑の急増と停滞を繰り返し病勢進展する。病勢進展には本田株と同様に降雨による葉面の濡れが必要で晴天日の自然結露では顕著な病勢進展は起こらない(データ省略)。発病が畦畔から容易に確認できるほどになると本田株への広範な感染が起こる。(図1
2. 全般発生開始期の発病補植苗からの伝染勾配は、100m以内の急な勾配とそれ以上の緩やかな勾配が認められる。緩やかな伝染勾配は約700mにまで及ぶことから、伝染源として発病補植苗が周辺水田に及ぼす影響はきわめて大きい。(図2
3. 育苗期感染苗が本田株として移植されると移植時期が遅いほど、また、移植後の湛水深が浅いほど本田発生につながりやすい。湛水深が浅い場合には5月初旬の早い移植であっても本田発生につながる。しかし、5月下旬の遅い移植では湛水深にかかわらず本田発生につながる。(表1

[成果の活用面・留意点]
1. 普及センター等で伝染源持込み防止策を指導する際の資料として活用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:いもち病伝染源域の防除による低コスト・環境保全型防除技術
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:石川浩司・黒田智久・堀 武志・佐々木行雄・小潟慶司・原澤良栄
発表論文等:
1) 原澤(2001)日植病報67:87-96.

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