未利用木質資源を副資材として活用した牛糞堆肥の水田への利用


[要約]
森林伐採後の残材や加工廃材、ダム流木等の未利用木質資源を環境に悪影響を及ぼさないように処理するため、これらの粉砕物を堆肥化の副資材として活用した牛糞堆肥は、水稲の生育に対する阻害性がなく、水田への有機物施用に利用できる。

[キーワード]未利用木質資源、イネ、牛糞堆肥、副資材、有機物施用

[担当]富山農技セ・農業試験場・土壌肥料課
[連絡先]電話 076-429-5248
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  戦後造林した人工林が主間伐時期を迎えていることから、森林の伐採作業が徐々に増加し、それに伴う枝葉などの処理に苦労しており、また、ダムに滞留する流木や加工廃材等の焼却処理は、環境に悪影響を及ぼすため、地域での循環利用が望まれているところである。そこで、これらの未利用木質資源の粉砕物を、安定的入手が困難になりつつある堆肥化副資材の代替資材として活用した牛糞堆肥の水稲栽培への利用について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 加工廃材及びダム流木を堆肥化副資材とした堆肥を施用した場合の窒素無機化量は、最高分げつ期頃までに多く発現し、その後は漸増し、籾殻を副資材とした堆肥より若干多く発現する。一方、林地残材を利用した堆肥については、窒素無機化量は少ない(図1)。
2. 未利用木質資源堆肥を水田に2t/10a施用しても、水稲の生育には障害が認められず、籾殻堆肥とほぼ同様の窒素吸収量の経過をたどる(図2)。
3. 未利用木質資源堆肥を2t/10a施用した場合、堆肥由来の窒素投入量は14〜20kg/10aとなるが、水稲による堆肥由来窒素の見かけの利用率は3〜8%と小さい(表1)。
4. 未利用木質資源堆肥を施用した水田における水稲の収量は、無施用、籾殻堆肥とほぼ同等であるが、加工廃材やダム流木を利用した堆肥では、水稲の倒伏程度が大きくなる傾向がある(表1)。
5. 未利用木質資源堆肥を施用した水田の跡地土壌は、全窒素量や培養窒素量が無施用田より若干増加し、特に連用により増加する傾向が認められるため、籾殻堆肥と同様に水田への有機物施用に活用できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 未利用木質資源としては、ダム流木(ダムに流入した広葉樹等をオガクズ化したもの)、加工廃材(スギの丸棒加工の過程の廃材をチップ化したもの)、林地残材(スギ樹の梢端部、枝葉部を粉砕したもの)で、これらの副資材と牛糞を1:2(容量比)に混合し、適宜切り返し20週以上発酵させたものを、灰色低地土水田に秋施用した結果である。
2. 使用に際しては、C/N比等堆肥の基準にあったものを利用し、籾殻牛糞堆肥の施用基準に準じて施用する。窒素施肥量については連用により地力が高まった場合は特に留意する。
3. 堆肥の製造等の詳細については、成果情報「家畜ふん堆肥化における未利用木質資源の副資材適性」(H15関東東海北陸農業・畜産草地)を参照。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:未利用木質資源を活用した堆肥施用技術確立試験
予算区分:県単
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:岡山清司、大川内康郎(1)、高橋理平(2)、蓮沼俊哉(1)、丸山富美子(1)
(1)富山農技セ・畜産試験場、(2)富山林技セ・木材試験場

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