砂壌土における「ファイバースノウ」の硝子率からみた止葉展開期追肥の施用のめやす


[要約]
砂壌土において「ファイバースノウ」の硝子率は、子実中のタンパク質含有率と関係が深く、止葉展開期の葉色が濃い場合や止葉展開期の追肥施用により高くなる。硝子率を40%以下に抑えるためには、止葉展開期の葉色がSPAD値で45以上の場合は、追肥を控える。

[キーワード]オオムギ、ファイバースノウ、止葉展開期、追肥、硝子率、葉色

[担当]富山農技セ・農業試験場・土壌肥料課
[連絡先]電話 076-429-5248
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  富山県の六条大麦栽培は、従来の「ミノリムギ」から、耐雪性に優れ倒伏に強い「ファイバースノウ」に切り替えられたが、民間流通に対応するには、実需者が求める高品質麦を安定供給していく必要がある。大麦栽培では、一般に、生育後半の追肥は千粒重等に効果がある一方で、硝子率を高め品質を低下させるとされているが、硝子率と追肥に関する明確な指標はない。硝子率は、本県産麦の実需者からは40%以下が基準とされており、硝子率からみた止葉展開期追肥の施用条件について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 止葉展開期に追肥を施用した場合は、穂の窒素含有量が増加する。止葉展開期に追肥を2kgN/10a施用した場合は、このうち約40%が穂に蓄積される(図1)。
2. 止葉展開期に追肥を施用した場合は、千粒重や収量が増加する(図2)。
3. 子実中のタンパク質含有率が高い場合は、硝子率が高くなる傾向がある(図3)。
4. 止葉展開期の葉色が濃いと、子実中のタンパク質含有率が高くなる傾向がある(図3)。
5. 止葉展開期の葉色が濃いと、硝子率は高くなる傾向があり、また、止葉展開期の追肥施用により、硝子率は高くなる傾向がある(図4)。
6. 硝子率を40%以下に抑えるためには、葉色がSPAD値で45以上の場合は、止葉展開期追肥の施用を控える(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 砂壌土における「ファイバースノウ」に適用が可能である。
2. 施肥の体系は、基肥(6kgN/10a)−越冬前追肥(4〜6kgN/10a)−消雪後追肥(0、2、4kgN/10a)−茎立期追肥(0、2kgN/10a)−止葉展開期追肥(0、2kgN/10a)で試験を行った。
3. 調査した大麦の3カ年の穂数および収量は、それぞれ359〜686本/m2および347〜581kg/10aの範囲であり、倒伏はほとんどみられなかった。
4. 止葉展開期の茎数と硝子率は、止葉展開期追肥を2kg/10a施用した場合は相関係数がr=0.219(止葉展開期の茎数392〜832本/m2)、止葉展開期追肥を施用しない場合は相関係数がr=0.315(止葉展開期の茎数472〜904本/m2)と低く、あまり関係がみられなかった。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:多雪地における六条大麦の高品質・安定多収栽培技術の確立
予算区分:委託(ブランド・ニッポン1系・麦)
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:沢田耕一、沼田益朗

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