株元施肥によって夏まきキャベツの施肥量は3割削減できる


[要約]
北陸地方の重粘土転換畑における夏まきキャベツでは、施肥量の全量を基肥のみで株元施用することによって、窒素施用量を3割削減できる。基肥のみで全面全層施用すると減収が著しいが、その減収は基肥+追肥体系によって軽減できる。

[キーワード]夏まきキャベツ、施肥量削減、株元施肥、追肥、重粘土転換畑、窒素利用率

[担当]中央農研・北陸総合研究部・総合研究第2チーム
[連絡先]電話 025-526-3235
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境,共通基盤・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  一般に重粘土転換畑でのキャベツには30kgN/10a程度の窒素が施用されており、施肥量の削減が求められている。重粘土以外の土壌では、キャベツの施肥量を2〜3割削減することが可能とされているため、北陸地方の重粘土転換畑においても、夏まきキャベツの施肥量を3割削減する施肥技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 基肥の全面全層施肥体系では、窒素の全施用量を3割削減すると、キャベツは減収する。しかし、肥料全量を基肥のみに施用する場合に比べ、基肥+追肥体系で収量は増加し、その効果は追肥10〜15kgN/10a施用で大きい(図1)。
2. 移植した株から約10cmの土壌表面に基肥を点状に施用した株元施肥体系では、全面全層施肥体系より高い収量が得られ、窒素施用量を3割削減し、全量を株元に基肥施用しても、ほぼ標準施肥(全施肥量30kgN/10a)と同程度の収量が得られる(図1)。
3. 条施肥体系では、高畝2条植えしたキャベツの条間(キャベツから約20cmの土壌表面)に基肥を筋状に施用した。窒素施用量を3割削減しても、株元施肥、条施肥体系では標準施肥並のL玉収量が得られるが、株元施肥体系の効果がややすぐれており、その傾向は品種が異なっても同様である(図2)。
4. 収量、窒素利用率に対する基肥の株元施用、基肥+追肥体系の効果は、複数年度で安定している(図3)。窒素3割削減における窒素利用率は、基肥全量を全面全層施用することで減少するが、基肥の株元施用によって標準施肥並に回復し、基肥+追肥体系(株元10-10)によって、さらに約15%向上する。窒素施用量のうちキャベツに吸収されない窒素は、標準施肥では21.5kgN/10aであるが、窒素3割削減、さらに基肥の株元施用、基肥+追肥体系(株元10-10)にすることによって11.5kgN/10aまで減少する。

[成果の活用面・留意点]
1. 供試圃場は重粘土転換畑であり、夏まきキャベツは8月上旬に移植し、高畝2条植え(栽植密度4,166株/10a)で栽培した。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土壌肥沃度の動態解明によるキャベツの施肥管理技術の開発
課題ID:03-02-02-*-03-03
予算区分:交付金(多雪地帯畑作)
研究期間:1999〜2003年度
研究担当者:松崎守夫、亀川健一、高橋智紀、細川寿
発表論文等:松崎ら(2003)北陸作物学会報 38:79-81.

目次へ戻る