イネのツマグロヨコバイ抵抗性準同質遺伝子系統のツマグロヨコバイ密度抑制効果


[要約]
イネのツマグロヨコバイ抵抗性中間母本・育成系統に対する本種の加害性は地域個体群間で異なるが、ツマグロヨコバイ抵抗性準同質遺伝子系統は圃場における本種の生息密度を低く抑える。

[キーワード]イネ、ツマグロヨコバイ、品種加害性、地域個体群、準同質遺伝子系統

[担当]中央農研・北陸水田利用部・虫害研究室
[連絡先]電話 025-526-3243
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境、共通基盤・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  作物の虫害抵抗性を利用することは、農薬の使用量を削減できる有力な防除技術の一つであり、戻し交配によって良食味品種に病虫害抵抗性を付与した同質遺伝子系統の育成が進められている。しかし、抵抗性品種に対する加害性は地域個体群によって異なる可能性があるので、抵抗性品種を栽培する際には、その地域の個体群の中で抵抗性品種を加害できる個体の割合を前もって調査し適切な品種選択を行う必要がある。そこで、ツマグロヨコバイ地域個体群の抵抗性品種に対する加害性を調査し、準同質遺伝子系統の圃場における密度抑制効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 上越市、水戸市、筑後市の3地域のツマグロヨコバイ個体群は、抵抗性中間母本・育成系統に対して異なる加害性を示す。上越個体群は全ての抵抗性系統で2齢到達率が低いのに対し、筑後個体群は抵抗性遺伝子Grh1を保有する中国105号やGrh2を保有する西海182号で高い。また、水戸個体群にはGrh2を加害できる個体が存在する(表1)。
2. 圃場におけるツマグロヨコバイ生息密度は感受性品種のキヌヒカリでは8月上旬および9月に増加するが、キヌヒカリ準同質遺伝子系統では低く推移し、抵抗性遺伝子Grh1、Grh2に対する加害性が高い筑後個体群に対しても密度抑制効果が認められる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. ツマグロヨコバイ抵抗性同質遺伝子系統の育成・普及のための基礎的情報となる。
2. 圃場試験の結果は少発生時、小面積のデ−タであるため、多発生時や大面積栽培時のツマグロヨコバイ密度については今後検討する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ツマグロヨコバイ抵抗性同質遺伝子系統を核とした主要害虫防除技術の実証
課題ID:03-11-03-*-04-03
予算区分:IPM
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:平江雅宏、高橋明彦、樋口博也、田村克徳(九州沖縄農研)、梶 亮太(九州沖縄農研)、溝淵律子(九州沖縄農研)、岡本正弘(九州沖縄農研)

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