チューリップ条斑病発病株から特異的に検出されるウイルス様粒子とその血清学的診断法


[要約]
チューリップ条斑病発病株から、屈曲したひも状のウイルス様粒子が特異的に検出される。本粒子に対する抗血清を用いた血清学的診断法により、本病は診断できる。

[キーワード]チューリップ、条斑病、ウイルス様粒子、血清学的診断法

[担当]富山農技セ・野菜花き試験場・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境、共通基盤・病害虫
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
  国内のチューリップ産地では微斑モザイク病(病原ウイルス:TMMMV)と条斑病の被害が拡大している。このうち、条斑病については、病原体が不明なため血清学的な診断法は確立されていなかった。そこで、条斑病発病株に特異的に存在するウイルス様粒子を精製するとともにその抗血清を作製し、血清学的な診断法を開発して、健全種球根の選抜、抵抗性品種の選定などに活用する。

[成果の内容・特徴]
1. チューリップ条斑病発病株は葉脈に沿って黄色ないし退緑色の条斑が入り、重症株では株が萎縮する。また、感染株粗汁液をタバコに接種すると全身感染し、上位葉に葉脈緑退、えそ等を生じる。
2. チューリップまたはタバコ感染葉の粗汁液をIGEPAL CA-630で処理した後、分画遠心を繰り返し、硫酸セシウム平衡密度勾配遠心することにより、健全葉には見られない幅7〜11nm,長さ約300〜1600nmの環状のひも状のウイルス様粒子が検出される(図1a)。
3. 本ウイルス様粒子に対する抗血清を作製し、これを用いた免疫電顕法によって感染葉粗汁液からは、屈曲した不定形のひも状粒子が捕捉される(図1b)。
4. 作製した抗血清は、ウエスタンブロットにより本ウイルス様粒子の成分タンパク質(31 kDa)と特異的に反応する(図2)。
5. TBIA法およびDAS-ELISA法により、一般圃場から採集した本病発病株から本ウイルス様粒子が特異的に検出できる。また、両検出法の検出感度はほぼ同等である(図3)。
6. 本病抵抗性検定試験に供試した221品種の発病率と本ウイルス様粒子の検出率には正の相関が認められる(図5)。
7. チューリップおよびタバコ感染葉中のウイルス様粒子抗原濃度は、病徴の激しい部位ほど高い(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、健全種球根の選抜、品種抵抗性の評価、発生生態の解明など、本病の防除技術の開発に多面的に活用できる。
2. DAS-ELISA法では試料をTBST(1%スキムミルクを含む)中で磨砕し、IgGを2μg/ml、コンジュゲートを2000〜3000倍希釈で使用することにより、1280〜5120倍希釈の粗汁液から本ウイルス様粒子を検出できる。また、植物組織中のウイルス濃度を評価するときは、組織磨砕液を300〜600倍に希釈する。なお、TBIA法では抗血清を1〜4万倍希釈して使用する。
4. 本ウイルス様粒子のウイルス学的性状は現在検討中である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土壌伝染性ウイルスの生物的制御技術の開発、高精度検出診断技術の開発
予算区分:指定試験、県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:守川俊幸、夏秋知英(宇都宮大農)、多賀由美子、森井 環

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