離乳時一腹総体重を指標とした子豚離乳時体重の改良法


[要約]
子豚離乳時体重の改良には産子検定の哺乳頭数補正にもとづいた離乳時一腹総体重の利用が有効である。

[キーワード]離乳時一腹総体重、産子検定、哺乳頭数 、ブタ

[担当]愛知県農総試・畜産研究部・豚グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、BLUP法の普及により豚の繁殖形質の改良が可能となり、産子数の優れた系統が開発されている。一方、1腹毎の産子が増え、1頭あたりの哺乳量の低下により、子豚の初期発育の低下が懸念されることから、産子数と同時に母豚の泌乳量の改良も必要である。そこで子豚の離乳時体重を増加させるため、大ヨークシャー種による系統造成において哺乳頭数を補正した豚の離乳時一腹体重の改良を実施する。

[成果の内容・特徴]
1. 哺乳頭数の補正方法
 日本種豚登録協会が定めた産子検定における哺乳頭数補正の離乳時一腹総体重を選抜に用いる。
2. 離乳時一腹総体重の推移
 5世代にわたり離乳時一腹総体重による選抜を行なった結果、離乳時一腹総体重は5kg増加する(図1)。子豚の離乳時体重も改良される(図2)。
3. 母性効果
 子豚の生時〜離乳時(20日)間での1日平均増体重の表型分散に占める母性遺伝分散および母性環境分散の割合はそれぞれ0.24および0.30であり、体重30kg、90kgになるにつれ、その割合は減少する。(表1

[成果の活用面・留意点]
1. 離乳時までの子豚の増体重に個体自身の相加的遺伝効果の割合が高いことから、離乳時一腹総体重と母豚の哺乳能力は同等でない可能性がある。
2. 哺乳頭数の補正は10頭を上限としているため、集団によっては10頭以上の補正も必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:雌系系統豚の開発
予算区分:県単
研究機関:1997〜2004年度
研究担当者:田島茂行、栗田隆之、安藤康紀
発表論文等:田島ら(2003)愛知農総試研報 35:161-166.

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