ブロイラー育成における飼料中タンパク質源の違い及び抗菌剤の影響


[要約]
飼料中のタンパク質源の差異および抗菌剤添加の有無がブロイラーの生産性およびストレス応答に及ぼす影響は、幼雛期の発育体重については動物タンパク質の影響が大きいが、その後の発育はタンパク質源よりも抗菌剤の影響が大きい。また、ストレス応答の観点で見ると抗菌剤の作用は動物タンパク質で顕著に認められる。

[キーワード]ブロイラー、タンパク質源、抗菌剤、生産性、ストレス応答、肉用鶏

[担当]山梨畜試・養鶏科
[連絡先]電話055-273-6441
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 鶏肉=ヘルシーのイメージを明確にするために、生産現場では飼料中のタンパク源について動物性を避け植物性原料を用いている。しかし、植物原料を利用することで飼養標準の要求量を満たしているにもかかわらず動物原料を利用した場合と比較して発育速度の遅延や飼料要求率の低下を招いている。そこで、飼料中のタンパク質源の違いと抗菌剤の有無がブロイラーの生産性及びストレス応答に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 3週齢までの発育体重は動物タンパク質を利用することで有意に増加するが、その後8週間まで飼育した場合にはタンパク質源の違いよりも抗菌剤の有無の影響が大きい。(表1
2. 正肉歩留は抗菌剤を添加することで有意に増加するが、腹腔内脂肪蓄積率及び肝臓割合にはタンパク質源及び抗菌剤の効果は認められない。(表2
3. 脂肪の色調は、植物タンパクの利用により有意に黄色度(b*値)が低下し、その結果白色度(W値)が向上した。一方、抗菌剤添加による色調への影響は、動物タンパク質を利用した場合に黄色度の低下が認められるが、植物タンパク質の場合は影響がない。(表2
4. 偽好酸球:リンパ球比率は、抗菌剤の添加により低下し、その割合は動物タンパク質の場合で顕著であったことから、抗菌剤の効果は植物タンパク質利用の場合と比較して動物タンパク質の場合に顕著に表れる。(図1
5. 血漿のチオバルビツール酸値(TBA値)について、動物タンパク質の場合に高い値を示したことから、動物タンパク質を給与する場合は抗菌剤の添加等のストレス抑制のための何らかの処置が必要と考えられる。(図2

[成果の活用面・留意点]
1. ブロイラー飼育におけるストレスと飼料原料の種類や抗菌剤との関係が明らかになることで、飼料製造時の配合設計への応用が可能となる。
2. 動物タンパク質は魚粉を5%、植物タンパク質は主として大豆粕を使用した。
3. 前期用飼料(CP23%、ME3,150Kcal/kg)後期用飼料(CP18%、ME3,150Kcal/kg)とした。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:鶏肉臭抑制技術の開発
予算区分:県単
研究期間:1998〜2004年度(平成10〜平成16年度)
研究担当者:松下浩一、小川陽介、西尾進、塩島敏夫

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