豚尿中の窒素成分は電気伝導度により推定できる


[要約]
豚尿を液肥として利用する場合に、窒素成分を電気伝導度によって推定することができる。

[キーワード]豚尿、窒素成分、電気伝導度、ブタ

[担当]長野畜試・養豚養鶏部
[連絡先]電話0263-52-1188
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 豚尿を液肥として利用する場合に、三大肥料成分のうち特に窒素成分量を知っておくことが必要であるが、化学分析には時間と労力がかかる。一方、現場で簡易かつ迅速に測定できる項目としてはpH、電気伝導度(EC)があり、これらと窒素成分に相関があれば分析することなく窒素成分を推定することができる。

[成果の内容・特徴]
1. 県内養豚農家(経営形態、飼養規模に関わらず糞尿分離処理方式の養豚農家。)の貯尿槽から豚尿を200ml程度サンプリングし、pH、EC、N、P、K、Ca、Mgを測定した。その結果からpH、ECと肥料成分との相関を調査し、推定式を作成。
2. 豚尿のpHは6.32〜9.07、ECは1.93〜31.80の範囲であり、肥料成分のうちCa、Mgは0ppmのものも認められた(表1)。
3. ECと窒素には高い正の相関がみられ、y=0.2085x-0.5097(R2=0.9489、P<0.01)の式によりECの値から窒素含量を推定できると考えられた(表2図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 採材した養豚農家の飼養方式はふん尿分離方式であるが、農家によって完全には分離できず、貯尿槽にはふんも含まれているものもあり、採材は貯尿槽上部液分である。
2. 液肥として利用するときに有効である。
3. 施用する作物、土壌によってはP、Kの補正が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:家畜ふん尿処理実用化調査事業 1.家畜尿の液肥化技術の実用化
予算区分 :国補事業
研究期間 :2001〜2003年度
研究担当者:清水伸也、西條勝宜、毛利重徳

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