鶏の臭気対策資材の評価試験法


[要約]
鶏ふんに使われる臭気対策資材の基本性能を評価するために、in vitro試験装置を用いた一連の試験法を開発した。本法では9種類の臭気成分について良好な精度で測定結果が得られ、資材の特徴を明確に反映することができる。

[キーワード]ニワトリ、鶏ふん、臭気対策、資材、評価試験法

[担当]愛知農総試・畜産研究部・畜産環境グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 鶏に関する苦情は悪臭に関するものが最も多く、臭気対策資材(資材)が広く使われている。資材には様々なタイプがあるが、基本性能を調べる評価試験法が統一されていない。そこでそれら資材を客観的に評価するため、試験法を組み立てその有効性を実証する。

[成果の内容・特徴]
1. この試験法は、図1に示すようなin vitro試験装置を用いて鶏ふんを一定条件で培養し、発生臭気の測定結果から対照区と試験区の相互比較により効果を判定する。
2. 対象とする臭気物質は、アンモニア、低級脂肪酸(VFA)4種類(プロピオン酸、n-酪酸、i-吉草酸、n-吉草酸)、硫黄化合物(硫化物)4種類(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)であり、臭気採取までは同時同系で操作する。
3. in vitro試験装置は鶏ふんを充填し臭気を発生、揮散させるための培養容器、一定温度で培養を行うための恒温水槽、アンモニアガス捕集びん、ドリップポット(シリカゲルを充填)、吸引ポンプおよび空気流量計からなり、流路中に硫黄化合物用の採取口と低級脂肪酸用捕集管用の切りかえ流路を取り付けた構造である(図1)。
4. アンモニアは4%ホウ酸により捕集する。捕集びん中の指示薬(BGMR)による液色が緑色に変化してから24時間程度経過した時点で捕集を終了し、0.1N硫酸を用いた直接滴定により定量する(表1)。
5. 低級脂肪酸および硫黄化合物は培養開始後24時間において4〜5回の定点分析を行う。VFA捕集管を直接in vitro試験装置に取り付けて捕集および濃縮を行う。公定法に従ってFIDまたはFPD付ガスクロマトグラフ分析装置により分析する(表1)。
6. 市販の資材を用いた実証試験では、臭気物質8種類について反復間における変動係数は概ね10%以内であり精度は良好である。またVFA4種類とアンモニアで対照区と試験区の間に発生量の明確な差が確認できることから、本試験法による資材の評価が可能である。(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験研究機関で資材の基本性能を評価する場合に活用できる。
2. 鶏ふんを数日で鶏舎外に搬出する管理方法を前提に試験法を組み立てている。
3. 資材は鶏に経口投与または鶏ふんに混合して使用するもので、使用法はそれぞれのメーカーの推奨する使用法に従う。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:鶏における微生物資材評価試験法の標準化と評価の判定
予算区分:国委託(農林水産バイオリサイクル研究)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:中谷 洋、増田達明

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