アオキ新品種「湘南ひこぼし」「湘南おりひめ」の特性


[要約]
育成したアオキ2品種「湘南ひこぼし(雄株)」「湘南おりひめ(雌株)」は、共に葉身長11〜14cmの長楕円形の細葉で、浅黄色の散り斑が入る観賞価値の高い品種である。「湘南おりひめ」は、冬期に濃橙赤色の実がなり、「湘南ひこぼし」との雌雄セットでの普及が期待される。

[キーワード]アオキ、新品種、湘南ひこぼし、湘南おりひめ

[担当]神奈川農総研・生物資源部
[連絡先]電話0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 アオキは日本在来の常緑低木樹で、バラエティに富んだ斑入りの葉、鮮やかな赤い実が美しく、古くから庭木として親しまれている。また、耐寒性、耐陰性に優れることから、ビルの谷間の日陰地や屋内などで観葉植物的な利用も増加している。そこで、当所で育成した観賞性の高い散り斑で細葉の2系統について特性調査を行い、オリジナル品種として植木生産者の経営の安定と生産の活性化を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
 「湘南ひこぼし」は、1985年に「細葉アオキ(青葉)」に「龍福寺」を交配し、樹勢、葉色、葉の大きさ等に優れる雄木を選抜した。また、「湘南おりひめ」は、1980年に「細葉アオキ(青葉)」に「ホシヤドリ」を交配し、同じく樹勢、葉色、葉の大きさ、実の色等に優れる雌木を選抜した。
2. 品種の特性
(1) 「湘南ひこぼし」
 樹姿は開張性で、樹高は約1.5m前後である。葉は、葉身の形が長楕円形、葉身長は14cm、表面の色は暗黄緑で浅黄色の散り斑が入る(図1表1)。花は、花径9.2mm、花高3.3mmの灰赤色で、1枝当たりの花数は85.6花と多く、受粉樹としての有効である(表2)。開花期は4月上旬で、1〜2週間開花する。
(2) 「湘南おりひめ」
 樹姿は開張性で、樹高は約1.5m前後である。葉は、葉身の形が長楕円形、葉身長は11cmとやや「湘南ひこぼし」より小さい。表面の色は暗黄緑で、浅黄色の散り斑が入る(図2表1)。花は花径8.8mm、花高6.0mmの赤褐色で、1枝当たりの花数は12.6花と少ない(表2)。開花期は「湘南ひこぼし」と同じ4月上旬で、1〜2週間開花する。また、冬期に濃橙赤色の実が、1枝当たり2.6個程度結実する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 庭木としての利用と共に屋内などで観葉植物的な鉢物の利用も可能である。
2. アオキ新品種の増殖は、神奈川県と許諾契約が必要であり、当面は県内農家に限定する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:かながわらしい特産品の開発
      観賞樹の新品種育成(アオキの新品種育成)
予算区分:県単
研究期間:2003年度(1980年〜)
研究担当者:原 靖英、堀越禎一
発表論文等:2004年9月10日品種登録出願。出願番号「湘南ひこぼし」第17457号
                         「湘南おりひめ」第17458号

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