切り花用バラ新品種「99−186−1」の特性


[要約]
新しい切り花用バラの有望品種として「99−186−1」を交雑育種により育成した。花色は弁縁が明るく濃いピンクで、弁の中央部より下が薄いピンクとなるぼかし。花形は剣弁高芯の整形咲き、花弁数は30枚以上で、花弁も厚いことから、日持ち性は比較的良い。高温期でも退色はしにくく、鮮明である。

[キーワード]切り花用バラ、交雑育種、ピンクぼかし

[担当]岐阜県農業技術研究所・育種部
[連絡先]電話058-239-3131
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 切り花用のバラ品種は大部分が海外育成品種であり、岐阜県での栽培適応性等に不明な点が多い。また、産地間競争が激化する中オリジナル品種の開発は緊急を要する課題である。そこで、本県の夏期の高温条件に強く、優れた切り花形質を有する品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 本品種は平成11年に「カリンカ」の選抜系統を子房親、「ケイロモ」の選抜系統を花粉親とする交配を行い、得られた実生個体から選抜・育成した。
2. 樹高は高性で、花形が剣弁高芯咲きとなるため切り花向きの品種である(表12)
3. 花色は花弁縁部が明紫赤、中央部が紫ピンクで、花弁縁から中央部にかけて色が薄くなるぼかしとなる。花弁裏側が淡紫ピンクで白に近い色調となるため、コントラストが美しい。退色性も少ないことから、夏切りも可能である(表2表3図1)。
4. 半年間の採花数は対照品種の「ノブレス」よりもやや少なく、「セレナ」と同程度であるが、比較的長い切り花が得られる(表3)。
5. 花弁数は30枚程度であるが、開花が比較的緩やかなため、日持ち性は一般的な品種と変わらない。また、花弁が厚いことから輸送・貯蔵による花傷みは少ない(表3)。
6. 病害虫の発生程度は一般的な品種と同等であるが、うどんこ病に対してはやや強で、対照品種よりも耐病性がある(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本系統はピンク系花色であるが、特徴ある色調となるため、栽培品種の中のバリエーションを広げ、オリジナリティを高める品種として期待できる。
2. 樹勢は旺盛であるので、一般的な品種よりやや控えめな肥培管理を行うと良い。
3. うどんこ病の耐病性を有するが、黒星病、ハダニ等の発生は見られるため、定期的な防除が必要である。
4. 16年度中に種苗登録申請予定。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:バラの新品種育成
予算区分:県 単
研究期間:1997〜2004年度
研究担当者:加藤克彦、宇次原清尚

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