シクラメンの品質評価、出荷選定のための画像評価モデルの作成


[要約]
5号鉢シクラメンの画像をもとに、特定市場の評価に基づいた出荷選定のための評価モデルを作成した。モデルは11段階の株姿を縦方向、その各段階毎に8段階の花形質を横方向に評価したクロス画像で、贈答用、標準小売用、量販店用に類型化し、出荷時に評価ができる。

[キーワード]シクラメン、卸売市場、出荷、画像、評価、モデル

[担当]三重科技セ・農業研究部・経営植物工学グループ、園芸グループ
[連絡先]電話0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・花き、経営
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 シクラメンは経験を通じて特定の形態や生産者の栽培技術等が評価されている。この評価は,卸売市場の特性等を反映した専門家の主観に依存しているが、価格形成や市場でのランク付けの基礎になっているため,生産者や産地が出荷先卸売市場の品質評価を具体的に把握することが極めて重要である。
 そこで、卸売市場における主観的外観評価を画像で捉えて体系的に整理し、卸売市場におけるシクラメン評価の標準化とともに、生産者による出荷事前評価や栽培における目標形態として利用できる評価モデルを作成する。

[成果の内容・特徴]
1. 卸売市場に出荷された5号鉢シクラメン(ミニ等を除く)を対象に、様々な外観のシクラメンを同一条件の下で一定方向・距離からデジタルカメラで撮影し、この画像に対する卸売市場の評価に基づいて評価モデルを作成した。モデルは株姿11段階を縦方向、その各段階毎の花形質8段階を横方向に配置した88の画像から成る(図1)。
2. モデルは、上段に向かうほど株の外観形態が良く、各段では右から左に向かうほど花の評価が高くなる。上位から下位クラスに至る多数の画像を組み込んだモデルであるため、各生産者のシクラメン外観との比較によって当該品質水準が視覚的に理解され、生産者による出荷前の評価や栽培における目標形態としての活用が容易である。
3. シクラメン画像を贈答用、標準小売用、量販店用に類型化するとともに、贈答用、標準小売用について当該市場が理想とする外観を示し、小売業者の評価や用途などを踏まえた卸売市場ニーズを組み込んだモデルになっている。なお、この3類型に含まれない画像は、当該用途からみて市場評価の得にくい外観のシクラメンである。
4. 表1は、贈答用、標準小売用、量販店用に類型化したシクラメンの外観計測値である。
5. 温室や市場等現場での利便性や普及性を考慮し、生産者・卸売市場に配付するモデルはA3カラー写真印刷をラミネート処理している。

[成果の活用面・留意点]
1. 5号鉢シクラメン(ミニ等を除く)における大阪の特定市場の出荷画像評価モデルであり、当該市場のニーズに基づく評価によって作成したものである。
2. 斜め上からの通常視野角では外観の詳細な比較評価が困難なため、真横から画像を撮影している。また、色は花や葉の発色・艶のみを評価対象としている。
3. シクラメン生産者による出荷前の評価や栽培における目標形態として利用できる。
4. 花き卸売市場毎に生産者や小売業者に提示する評価モデルとして活用できる他、小売業者等が消費者に提示する評価モデルとしても利用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:計量的アプローチによるシクラメンの品質評価
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:大泉賢吾、糀谷斉、鎌田正行、西田悦造、千田泰義、内山達也

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