秋咲きアリウムの鉢物・花壇用新品種「オータムヴィオレミニ」


[要約]
ラッキョウとキイイトラッキョウとを交配し、子房培養により「オータムヴィオレミニ」を育成した。「オータムヴィオレ」より花茎が短く花序も小さく小型で、花茎数が多いので、鉢物、花壇植えに適する。

[キーワード]鉢物・花壇用、秋咲きアリウム、ラッキョウ、子房培養、オータムヴィオレミニ

[担当]福井農試・園芸バイテク部・バイテク研究グループ
[連絡先]電話0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 平成15年8月に品種登録された秋咲きアリウム「オータムヴィオレ」は切花用の品種である。秋咲きのアリウムは種類が少なくガーデニング用としても有望で、鉢植えや花壇用としての需要が見込まれる。そこで、小型の野生種であるキイイトラッキョウを育種素材として鉢物・花壇用品種を育成した。

[成果の内容・特徴]
1. 育成の経過
1997年にラッキョウ「ラクダ系福井在来」を種子親としてキイイトラッキョウを交雑し、子房培養により雑種個体を得て、系統選抜により「オータムヴィオレミニ」を育成した。2000年から2003年の3年間、特性検定を行い、その優秀性が認められたので、2004年3月9日に品種登録出願を行った。
2. 特性の概要
1) 花茎は25cm程度と短くかつ細い。花茎の数は1株あたり8本程度あり、小型であるため鉢物や花壇用植栽に適する(表1図1)。
2) 花序径は35mm程度と小さいが、小花数はラッキョウよりはるかに多い。花弁の色は鮮紫(JHS8605)でラッキョウや「オータムヴィオレ」の明赤味紫(JHS8905)に比べてやや濃い(表1図2)。
3) 開花始めは10月15日頃で(表1)、観賞期間は20日以上ある。
4) 分球によって容易に増殖する。

[成果の活用面・留意点]
1. 開花後、球根を掘り上げて1球ずつに分球して植え替えると、翌年秋に開花する。
2. 毎年植え替えを行うと花は大きく花茎数も多くなるが、花壇植えの場合には植えたままでも3年間は観賞できる。
3. 球根や苗の販売に供するための増殖に当たっては福井県の許諾が必要で、当面県内農家に栽培を限定する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:胚培養等による新品種育成
予算区分:福井オリジナル産品開発育成事業(県単)
研究期間:1997〜2004年度
研究担当者:野村幸雄、斎藤稔、小森治貴
発表論文等:品種登録出願中(第16735号)

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