ジネンジョ“形状不良芋”の発生助長要因と防止技術


[要約]
ジネンジョの商品性を低下させる栽培パイプからのはみ出し芋は、パイプに詰める用土量を増やすことで、顕著に抑制でき、品質も向上する。複数芋については、催芽処理により芽の長さを10cm以上に伸長させた種芋を定植することで、防止できる。

[キーワード]ジネンジョ、中山間地、形状不良芋、発生助長要因、防止技術

[担当]愛知農総試・山間農業研究所・園芸グループ
[連絡先]電話05368-2-2029
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ジネンジョは、主に贈答用や土産物として直売されている。しかし、販売単価の高い贈答用として出荷できる良品(長さ110〜130cm、重量350g以上で、形状の優れる芋)の割合は、半数程度にとどまり、形状不良芋の多発が大きな問題になっている。主なものは、芋が栽培パイプ(全長135cm、筒部の長さ118cm、径6.3cm)の長さ以上に伸長し先端部がとび出るはみ出し芋、芋が基部から数本に分かれて形成される複数芋である(図1)。そこで、これらの形状不良芋の発生助長要因の解明と防止技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. パイプに詰める用土量と芋の形状、品質との間には、密接な関係が認められ、用土量が少ないほど長く、細い形状となり、はみ出し芋の発生が増加する(図2表1)。
2. はみ出し芋の発生は、用土量を増加させることにより、大幅に削減できる。また、芋の長さと太さのバランスが良くなり、乾物率や粘度等の内容品質も向上するが、黄色砂壌土では、詰めすぎると肥大がやや抑制される(表1)。
3. 用土量は黄色砂壌土(SL)では4.8kg、赤色粘質土(LiC)では4.0kg程度を目安とする。
4. 複数芋の発生は、品種間差が大きく「稲武2号」で非常に少ないのに対し、「P-16」で多発する。特に、植え付け時に芽が地表に出ない「P-16」の催芽程度1cm及び3〜5cmの種芋を定植すると顕著に増加する(表2)。
5. 「P-16」のような複数芋の発生しやすい品種でも、催芽処理により芽を10cm以上に伸長させ、芽の先端を地表から5cm以上出して植え付けることで発生を防止できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 適正な土量を詰めても、筒部の太さが変われば、パイプ内の土圧は変わってくる。土詰めに先ち、栽培パイプと同じ太さの麻ひもの輪(掘り取り時には腐り、作業性に優れる)をパイプ1本に付き5か所程度バンチングし、筒の太さを一定に保つ。
2. パイプに詰める用土の土壌水分は、手で握った際、表面が軽く湿る程度が好ましい。赤色粘質土は、粘り気があり締まりが悪いので、土をやや乾かし、土量の確保に努める。
3. 土詰めは、黄色砂壌土ではパイプ内に用土を押さえつけることなく均一に詰めた後、パイプを立て、高さ0〜15cmの範囲で地面に押しつけるように上下動させ、上側にできた25cm程度の空間に土詰めする。赤色粘質土では、更に上下動を繰り返し、上側の10cm弱の空間に再度土詰めする。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ジネンジョ障害芋の発生要因の解明と防止策
予算区分:県単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:伊藤裕朗、山田良三、河井弘康

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