開張型品種‘むさしかおり’の幼木期における仕立て法


[要約]
開張型品種‘むさしかおり’を定植4年目の3月に地上35cmでせん枝した場合と地上60cmでせん枝した場合を比較すると、成木園においてより安定した生葉の生産を可能とするのは地上35cmでのせん枝である。

[キーワード]チャ、幼木仕立て、むさしかおり、胴枯れ型凍害

[担当]埼玉農総研(茶業特産)・特産営農担当
[連絡先]電話042-936-1351
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 埼玉県内で育成した‘むさしかおり’は開張型であり、現在県内で栽培されている‘やぶきた’や‘さやまかおり’と樹姿が大きく異なっている。一方、幼木期の仕立ては成木園となるまでの年数や収量に大きく影響することから、‘むさしかおり’の幼木期における仕立て方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 収量:定植6年目までは定植4年目の3月にせん枝を地上60cmで行った場合(以下60cm処理)の方が多収だが、定植8年目には逆転し、地上35cmで行った場合(以下35cm処理)の方が多収となる(図1)。
2. 樹体:定植8年目においても35cm処理の方が樹体は小さく、冬期の降雪等による胴枯れ型凍害(胴枯れ)を受けにくい(図2,表2)。
3. 管理:35cm処理の方が樹体を栽培管理がしやすい大きさに維持でき、台切りや中切りなどの更新までの年数が長くなる。

[成果の活用面・留意点]
1. 胴枯れ型凍害は積雪後の融雪過程に発生する例が多いため、積雪頻度が高く冷涼な地域ほど、このせん枝方法による効果が高い。
2. 乗用型摘採機やレール走行式摘採機などが導入された茶園では、樹体を低めに維持できるこの仕立て方法が活用しやすい。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:‘むさしかおり’の仕立て方法に関する試験
予算区分:県単
研究期間:1997〜2003年度
研究担当者:久米信夫、酒井崇

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