茨城県におけるチオファネートメチル剤耐性ダイズ紫斑病菌の発生分布


[要約]
茨城県で分離したダイズ紫斑病菌の菌株の64.6%は、チオファネートメチル剤耐性菌で、本耐性菌は県内に広く分布している。

[キーワード]ダイズ紫斑病、チオファネートメチル剤、耐性菌

[担当]茨城県農総セ農研・病虫研究室
[連絡先]電話029-239-7213
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 茨城県では1979年頃からダイズ紫斑病防除にベンゾイミダゾール系薬剤が使用されている。2002年にチオファネートメチル剤で防除したにもかかわらず、紫斑粒の発生が多い圃場が認められた。そこで、県内でのチオファネートメチル剤耐性ダイズ紫斑病菌の発生とその分布を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 茨城県内17市町村、33圃場のダイズ紫斑粒から分離した紫斑病菌370菌株の64.6%がチオファネートメチル剤に対する耐性菌である(表1)。
2. 耐性菌と感受性菌が混在している圃場や、耐性菌が分離されない圃場もあるが、耐性菌は茨城県内に広く分布している(図1)。
3. 全ての耐性菌は最少生育阻止濃度(MIC値)1,600ppm以上の高度耐性を有しており、中等度耐性菌は認められない(図2)。
4. ベノミル剤に対する薬剤感受性検定を行った40菌株のうち、チオファネートメチル剤に対して耐性の32菌株は全て、ベノミル剤にも耐性である。一方、チオファネートメチル剤に感受性の菌株は、ベノミル剤に対しても感受性である。両剤の間には交差耐性が認められる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 耐性菌の確認された地域では、ダイズ紫斑病の防除にチオファネートメチル剤、ベノミル剤の使用を中止し、他系統薬剤に切り替える。また、薬剤を切り替えた後も同一薬剤の連用を避け、系統の異なる薬剤によるローテーション散布を行う。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:薬剤抵抗性ダイズ病害虫の防除技術の開発と実証
予算区分:国補(植物防疫)
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:本橋みゆき、渡邊 健、上田康郎

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