タンパク質含有率が低く、精米特性に優れる水稲酒米新品種「越淡麗(こしたんれい)」の育成


[要約]
「越淡麗」は「五百万石」より出穂、成熟期とも15日程度遅い晩生の酒米品種である。大粒で玄米タンパク質含有率が低く、精米特性に優れ、40%以上の高度な精白に耐える。

[キーワード]水稲品種、越淡麗、酒米、晩生

[担当]新潟農総研・作物研究センター・育種科
[連絡先]電話0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 新潟県の酒米の主力品種である「五百万石」は50%を超える高度精白に耐えられないことから、大吟醸酒の醸造にはこれまで他県産の「山田錦」が多く用いられてきた。県酒造組合では、県産米を100%用いた大吟醸酒の製造によって、更なる需要拡大を目指しており、「山田錦」に匹敵する酒造特性を有し、新潟県での栽培に適した新たな酒米品種の開発が強く求められていた。そこで、酒造特性に優れ、新潟県独自の大吟醸酒が醸造できる酒米新品種として「越淡麗」を開発した。

[成果の内容・特徴]
1. 「越淡麗」は「山田錦」を母、「五百万石」を父とする酒造好適米で、出穂、成熟期が「五百万石」より15日程度遅く、「山田錦」より10日程度早い晩生種である(表1)。
2. 草型は穂重型で、稈長は「五百万石」より10cm以上長く、細稈で稈質は柔らかい。成熟期には止葉が垂れ、穂軸の抽出が目立つ。短芒が少程度生じる(表1)。
3. 穂発芽性は易、耐倒伏性は弱、脱粒性は難である。いもち病抵抗性は葉および穂ともに弱である。収量性は「五百万石」に比べ劣るが、「山田錦」より優れる(表1)。
4. 心白はやや小さく、発現率は「五百万石」より少ないが、「山田錦」と同様な線状心白を生じる(図1)。腹白粒と発芽粒が生じ易いため、玄米の見かけの品質は両親よりやや劣る(表1)。
5. 「五百万石」に比べ、精米時の砕米が少なく、タンパク質含有率も低い。精白米の初期吸水が緩やかで原料米処理が容易である(表1表2)。
6. 実用規模で40%以上の高度精白を行っても砕米が少なく、真の精米歩合と見掛けの精米歩合の差(無効精米歩合)が2.2%と低いことから、精米特性に極めて優れる(表3)。
7. 「五百万石」に比べ、製成酒の日本酒度とアミノ酸度が低く、官能評価は「柔らかくてふくらみ」があり、「淡麗できれい」な「五百万石」や「やや甘みが強く、味わい」がある「山田錦」とは異なる酒質示すことから、新たな新潟清酒の商品開発への貢献が期待される(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 2004年9月種苗登録出願、2006年度より新潟県で普及予定。普及対象面積は300ha。
2. 長稈で耐倒伏性が弱く、穂発芽性が易なので多肥栽培は厳に慎み、倒伏に起因する玄米品質の低下に十分留意する。
3. 葉いもちおよび穂いもち抵抗性が弱なので、標準防除は必ず実施する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲の基幹新品種の育成
予算区分:県経常
研究期間:1989〜2004年度
研究担当者:小林和幸、松井崇晃、金田智、石崎和彦、浅井善広、川上修、名畑越夫、長澤裕滋、佐々木行雄、東聡志、星豊一、阿部聖一、重山博信、平尾賢一、樋口恭子、近藤敬、阿部徳文、河合由起子
発表論文等:1) 種苗法に基づく品種登録出願(2004年9月27日)

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