アカヒゲホソミドリカスミカメ合成性フェロモンの雄成虫誘引力


[要約]
ゴムキャップに含浸させたアカヒゲホソミドリカスミカメの合成性フェロモン0.01mgは、未交尾雌10頭と同等の誘引力があり、野外でその誘引性は1ヵ月間は持続する。

[キーワード]イネ、アカヒゲホソミドリカスミカメ、斑点米、性フェロモン、発生消長

[担当]中央農研・北陸水田利用部・虫害研究室
[連絡先]電話025-526-3243
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境、共通基盤・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 アカヒゲホソミドリカスミカメは、斑点米を発生させコメの品質を著しく低下させる。本種雌が放出する性フェロモンは同定され、合成物の利用が可能である。本合成性フェロモンを誘引源としたトラップが開発されれば、野外で本種の発生消長を把握できる。
 そこで、ゴムキャップに含浸させる合成性フェロモンの量と誘引数の関係および誘引性の持続期間について調査し、実用上最適な合成性フェロモンの含浸量について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ゴムキャップ(1F 1888 Grey sleeve stopper)に含浸させた合成性フェロモン0.1mgは未交尾雌10頭より誘引力が劣るが、0.001mgと0.01mgは未交尾雌10頭と同等の誘引力を示す(図1)。
2. 合成性フェロモン0.01mgを含浸させたゴムキャップを野外に10〜30日間放置しても、誘殺数は放置しなかったものとの差はない(図2)。
3. 以上の結果から、実用的な誘引性の持続期間を1ヵ月と想定した場合、ゴムキャップに含浸させる場合の合成性フェロモン量として0.01mgが最適であると考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本種の発生予察技術を開発するための基礎的資料となる。
2. 合成性フェロモンは、3成分n-hexyl n-hexanoate、(E)-2-hexenyl n-hexanoate、n-octyl n-butyrateを100:40:3の比率で混合したものである。
3. 本試験では水盤トラップ(水色、直径45cm、深さ14.5cm)を地面に設置して使用しているが、実用的なトラップの開発にあたっては、トラップの種類と併せてトラップを設置する高さおよび場所などの適切な設置条件を検討する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:合成性フェロモンを活用したアカヒゲホソミドリカスミカメの防除技術の開発
課題ID:03-11-03-01-09-04
予算区分:交付金
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:樋口博也、高橋明彦、福本毅彦(信越化学)、望月文昭(信越化学)
発表論文等:樋口ら(2004) 応動昆 48(4):345−347

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